古い街並みを再現した映画の場面に懐かしみを感じ温かい気持ちになったり、自分の住む地域の古い写真を見て意外な発見があったり、祖父母の持つ古い持ち物に心が引かれたりした経験はありませんか。
懐かしさを抱かせるものは、精神的な安らぎを与えるでしょう。
「レトロ」と「モダン」と「シック」には、懐かしさを大切にする気持ちが込められています。
この記事では、三語の言葉の違いを説明していきます。
「レトロ」とは?
「レトロ」とは、英語の“retrospective”を短縮した読み方で、昔を振り返るという懐古の意味があります。
過ぎ去った昔を思い出し、良さを感じ、しみじみと感慨に浸る意味が込められています。
古いものに対しての良さを再確認する意味で「レトロな」と付けられます。
「レトロ」の例文
・『アンティークショップで、レトロなタイプライターを発見した』
昔使われた古い物でも、現存しない価値のある物は、コレクターに高値で取引されたりするようです。
・『レトロな雑貨が、最近では若者に珍しがられて人気を得ている』 デジタルな時代の現代でも、昔のアナログな物が温かみがあると、それを知らない若い世代に、時代が回って受け入れられることがあります。
「モダン」とは?
「モダン」は、英語で“modern”と書き、今風の、現代的なという意味を持ちます。
近代的な建築物等に、言葉が使われています。
明治時代に海外の文化や技術が取り入れられ近代化が進み、新しいものは「モダン」と言われていました。
この言葉は明治から使われていて「古典的」の意味で間違えて使っている人もいますが、正しくは「現代的な」の意味なので、間違えないようにしたいです。
「モダン」の例文
・『大正時代、モダン・ガールやモダン・ボーイが街中を闊歩した』
大正時から昭和初期にかけて、それまでの和装・和髪の女性から、洋服・洋髪のスタイルに変化していきました。
そのときの最新ファッションのお洒落な装いをした人達を「モボ・モガ」と言っていたようです。
・『モダン焼きは広島風お好焼きと似ているが、作り方が違う』
「モダン焼き」は、大阪で作られるそばを入れたお好み焼きで、広島風との違いは焼き方で「モダン焼き」はキャベツの混ざった厚い生地に焼きそばを挟んで焼いたものですが、広島風は薄い生地の上にお肉や野菜、そばを重ねていきます。
「シック」とは?
「シック」とはフランス語の“chic”から来ていて、洗練されている、上品なという意味です。
服装の細やかさが行き届き、優れていて華やかなさまです。
落ち着いて気品のある部屋の内装や、ファッションに対して「シックな」と付けます。
人に対しては言いません。
英語の“sick”は病気の、という意味があり、そちらと間違われる可能性の為です。
ホームシックのシックは“sick”で意味が違うので注意です。
「シック」の例文
・『この店では、シックな色使いのソファーが売れている』
品のあるデザインの家具に対して、「シックな」と言う言葉が使われています。
・『部屋の模様替えをするなら、アンティーク小物を取り入れシックな部屋にしたい』 すっきりとして落ち着いたデザインのお部屋は、仕事から帰ってリラックスするのにピッタリです。
「レトロ」「モダン」「シック」の違い
「レトロ」は、古い物や文化を懐かしみ、好意的な気持ちを抱かせる物に対して使い、「モダン」は現代的でお洒落なことであり、大正から昭和初期に流行った言葉です。
「モダンな人」とは言いますが「シックな人」とは言いません。
「モダン」の対義語は「古典的な」なので、「モダン」は「レトロ」と対象的な言葉であると分かります。
また「シック」は、ファッションやお部屋の内装等が落ち着いていて、品があるさまを言います。
このように、三語にはそれぞれ使われ方や意味の違いがあります。
まとめ
上で見てきた三語の言葉は、どれも三文字のカタカナ語で一見似ていますが「レトロ」と「モダン」は英語から来ていて「シック」はフランス語で語源が違い、意味と使われる場面に違いがあるので注意して言葉を用いていきたいです。