この記事では、「至高」と「最高」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
至高と最高の違い
「至高」とは、この上なくすぐれていること、またそのさま、最高を意味します。
「最高」は、3つの意味を持っていますが、その中の1つにこの上なくすばらしいことという意味があります。
2つの言葉では、比べるもののある・なしの違いがあります。
「至高」は、この上なく高い境地のことで、比較を必要とせずにそのような状態になることはできます。
「最高」は、複数の同じ種類のものがあり、その中で比べて一番高いことなので、比べるものがあります。
たとえば、「りんご」という種類の中にも、ふじりんご、シナノゴールド、ジョナゴールド、スリムレッド、はるかなど、さまざまなものがあります。
これらを比べてもっとも値段が高いものを「最高」の値段と表現します。
「至高」は複数のもので比べているのではありません。
この上ない最高の境地やすばらしい状態のことで、何かと比べなくてもそのような境地や状態に至ることはできます。
至高と最高の使い方の違い
「至高」の状態に至ることは頻繁にあるのではないので、日常生活で使われることは少ないです。
「最高」は複数のもので比べたいときに使われることが多くあります。
最高金額、最高峰、最高点など、さまざまな使われ方がありますが、どれも同じ種類のもので比べています。
たとえば最高峰だと、並び連なっている山々という同じ種類のものがあり、その中で一番高いみねのことを指しています。
至高と最高の英語表記の違い
「至高」は英語で“supremacy”や“highest”と表記をします。
「最高」は英語で“highest”と表記をします。
“highest”は高いという意味の“high”に最上級の“est”をつけたものです。
文中では“the”とともに使用をして“the highest”となります。
英語の最上級の表現は、3つ以上のものを比べてその中で何が一番なのかを表すときに使用します。
至高の意味
「至高」は、この上なくすぐれていること、またそのさま、最高のことです。
この上なく高い境地や状態に至ったことを意味します。
「至」という漢字には、いたる、とどく、ゆきつくという意味があり、「高」という漢字には、たかい、程度がたかい、順位や等級が上であるという意味があります。
漢字の意味からも、高いところにいたることを指しているのがわかります。
「境地」とは、ある段階に達した心の状態、その人の置かれている立場、芸術などの世界のことです。
「状態」は、人や物事のそのときのありさまを意味します。
Aさん、Bさん、Cさんを比べてAさんが最も優れているということを「至高」は指しているのではなく、AさんだったらAさんの、BさんだったらBさんの心の状態や芸などが、この上なくすぐれているさまを「至高」は意味しています。
至高の使い方
「至高」の状態になることは日常生活で頻繁にはないので、日常生活でよく使われる言葉ではありません。
本当にこの上なくすばらしいと感じられることに使用されます。
至高を使った例文
・『至高の芸術』
・『僕にとっての至高の存在』
・『至高の芸を身につけた』
・『至高の逸品に巡り合えた』
・『至高という言葉でしか表現できない』
至高の類語
「最高」が類語です。
至高の対義語
この上なくすばらしくないことを意味する言葉が対義語になるので、「最低」が対義語です。
最高の意味
「最高」には、3つの意味があります。
1つめは、地位や高さが一番たかいことです。
会社の中には部長、課長、次長、社長などいろいろな役職があり、これらの役職は地位ともいいます。
こういった中で一番たかいことという意味です。
2つめは、物事の程度がいちじるしいことです。
最高に面白いといった表現の仕方をします。
3つめは、物事がもっとも望ましい状態にあること、この上なくすばらしいことです。
最高の使い方
同じ種類の中で比べて一番ていどが高いものについて使う言葉です。
山だったら山という同じ種類の中で高さなどを比べたり、ミカンだったらミカンという同じ種類の中で値段や甘さなどを比べたりなど、同じ種類の中で比べます。
最高に面白い映画という場合は、これまで見た映画の中で比べていることになります。
最高を使った例文
・『最高価格がつけられた』
・『この料理は最高の出来栄えだ』
・『最高の試合を見せてくれてありがとう』
・『最高温度を記録しました』
・『今日は最高に楽しかった』
最高の類語
「至高」が類語です。
最高の対義語
もっとも高いの反対の言葉はもっとも低い、つまり「最低」が対義語になります。
まとめ
どちらの言葉もこの上なくすばらしいことを意味していますが、まったく同じ意味の言葉なのではありません。
また、日常でよく使われているのは「最高」の方で、このような違いもあります。