この記事では、「意思」と「意志」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「意思」と「意志」の違い
「意思」と「意志」は、一見すると非常によく似ている言葉です。
どちらも「いし」と読む同音異義語で、漢字も一文字しか違いません。
「何かをしたいという気持ち」に対して使われるところも一緒です。
しかし、この二つの言葉には違いがあります。
わかりやすく言えば、「思いの強さ」が異なります。
「意思」よりも「意志」の方が、確固たる思いを持っていると言えます。
「意思」は「気持ち」と言い換えられますが、「意志」は「気持ち」と言い換えるよりも、「意欲」や「目標」と言い換えた方が、本来持つ意味と近い意味になる場合があります。
「意思」は「思い」です。
軽い気持ちに対しても使える言葉です。
対して「意志」は、「目標を達成するための思考」です。
志を持っているときに使用する言葉です。
「意思」と「意志」の使い方の違い
「意思」は、「何かをしようとする気持ち」のことです。
「このような意思がある」と使ったときは、「自分はこのようなことがしたい」という気持ちを伝えられます。
一方「意志」は、「何かを成し遂げるための強い気持ち」のことです。
「このような意志がある」と使ったとき、「自分にはこのような目標がある」という志を伝えることができます。
「意思」と「意志」の英語表記の違い
「意思」を英語にすると“ intention”(インテンション)です。
これは「心づもり」という意味です。
「意志」の英語表記は“determination”(ディターミネイション)です。
こちらは「決意」という意味の単語です。
また、「強い意志」という意味の“resolve”(リゾールブ)もしばしば使われる表現です。
「意思」の意味
「意思」とは、何か行動しようとするときの原因になる心持ちのことです。
「気持ち」や「考え」、「思い」などと言い換えることが可能です。
例えば、「何を食べたい?」と聞かれたときに、「ラーメンを食べたい」と答えたとします。
このとき後者の人物は、「ラーメンを食べたい」という「意思」を持っています。
このように、具体的な行動の元となる気持ちが「意思」です。
「意思」の使い方
「意思」は、「何かをしたいという気持ち」のことです。
「意思決定する」「意思表示する」「意思がある」「意思を持つ」というふうに使います。
「意『志』」とは異なり、「意『思』」は、何気ない、気軽な気持ちにも使える言葉です。
「意思」を使った例文
・『彼女は、選択科目は音楽を取りたい、という意思を先生に相談しました』
・『赤ちゃんが近頃意思表示をするようになり、ますます子育てが楽しくなってきた』
・『自分の意思を尊重してくれる人を大切にしなさい。そしてあなたも、他者の意思を尊重しなさい』
・『彼は意思がころころと変わる。五分前は散歩に行きたいと言っていたのに、今は、もう今日はずっと家にいる、と言って聞かない』
・『意思決定は勇気のいることだが、必要なことだ』
・『ぬいぐるみに意思が宿ると、その子どもは真剣に信じていた』
「意思」の類語
「意思」の類語には「意図」(いと)が挙げられます。
「意図」とは、「何かをしようとすること」や、「思惑」という意味です。
「意思」が「何か行動しようとするときの気持ち」なので、類語だと考えられます。
また、「所存」(しょぞん)も類語と考えてよいでしょう。
「所存」とは、「考え」「思うところ」という意味です。
「意志」の意味
続いて、「意志」の意味について解説します。
「意志」とは「何かをやり遂げようとする強い気持ち」のことです。
「志す」(こころざす)という漢字が入っていますが、「目的を達成しようと志す意識」が「意志」だと言えるでしょう。
「意志」の使い方
「意志」は、目標があるときに使う言葉です。
目標を達成するために物事を考えるとき、その思考を「意志」と呼びます。
「意志」は、気軽な気持ちに対しては使うことがためらわれる言葉です。
「何かをぜひしたい」「目標を成し遂げたい」という強い気持ちがあるとき、「意志」という言葉が用いられます。
「意志」を使った例文
・『彼女は今回のセミナー参加を通じて、人脈を広げたいという強い意志を持っていた』
・『僕には、絶対にこの楽器がうまくなりたい、という意志があります。上達は生涯の目標です』
・『パティシエールを志すため、彼女は自分の意志を両親に説明した』
・『教師は彼女の意志の大きさに感動し、資料室の鍵を貸し出すことにした』
・『その子どもは意志を貫き、やがて芸術を専門とする大学へと進学した』
・『彼は我が強いが意志も強い。これからが楽しみな人物です』
「意志」の類語
「意志」の類語として「意欲」(いよく)が挙げられます。
「意欲」とは、「目標に向けた、積極的な意思活動」のことです。
つまり「進んで何かをしようとする気持ち」のことです。
また、「気合」(きあい)も類語として適切かもしれません。
「気合」は、「気持ちの勢い」ということです。
「気合がある」と使った場合、「意志がある」と似た意味になります。
まとめ
「意思」と「意志」の違いについてまとめました。
「意思」は、「行動の原因となる気持ち」です。
「意志」は、「目標を成し遂げるための、積極的な意欲」です。