この記事では、「仰向く」と「仰向ける」の違いを分かりやすく説明していきます。
「仰向く」とは?
「仰向く」は「あおむく」と読み、「上を向く、天を仰ぐ」といった意味があります。
立っている状態からは、首を後ろにもたれて顔が天を向いているようになることを指します。
寝ている状態であれば、身体の表側が天を向いているようになることを指します。
「仰向ける」とは?
「仰向ける」は「あおむける」と読み、「上を向いている状態にすること、天を仰ぐ状態になること」といった意味合いがあります。
ラ行変格活用動詞の「可能」を表す表現で、「仰向け~にする」あるいは、「仰向け~にできる」といったニュアンスがあります。
「仰向く」と「仰向ける」の違い
「仰向く」を細分化すると、「仰ぐ」+「向く」になります。
「仰向ける」を細分化すると、「仰ぐ」+「向ける」になります。
「仰ぐ」は「天に顔を向ける」という意味合いがあり、「向く」は「その方向へ」という意味合いがあります。
動詞的な表現で言うと、「向く」は「そうする」、「向ける」は「そうなるようにする」といったニュアンスに言い換えられます。
「そうする」は自発的な様子、「そうなるようにする」は、状態を変化させることが出来る様子をそれぞれ表していることが分かります。
また、「仰向け」の反対の意味は「うつぶせ」になります。
「仰向く」の反対表現は「俯く(うつむく)」になります。
「俯く」は、首を垂れて下を向く状態です。
「仰向く」の例文や言い換え
・「ヒマワリは太陽に仰向く」
ヒマワリは“向日葵”と表記されるように、いつも太陽を仰ぎ見ているイメージがあります。
そんな向日葵を見ていると、こちらも元気をもらうことが出来ます。
・「ペナルティキックを外し、天を仰いだ」
サッカーの試合、クライマックスのシーンでシュート外してしまった選手が、画面に映し出されます。
両手で頭を抱えて、天を仰ぎ悔しがる様子が印象的です。
ちなみに、この時、スタンドにいるサポーターたちも同じポーズを取っています。
・「恵みの雨に、空を仰ぎ感謝した」
雨乞いの祈祷をした農家の人たち。
降り出した奇跡の雨に、天の恵みに感謝して、両手を合わせて喜びあっています。
「仰向ける」の例文や言い換え
・「うつぶせになっている赤ん坊を仰向ける」
まだ自分の力で寝返りをうてない赤ん坊を、母親が優しく抱き上げ、息苦しくないよう、仰向けの姿勢に変えてあげました。
赤ん坊を見つめる母親の眼差しは、愛に満ち溢れています。
・「診察台で仰向けになる」
診察室で心電図を取るために、仰向けの姿勢になりました。
健康診断などでも、よくあるシーンです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「仰向く」と「仰向ける」は、動詞的な意味合いから調べると、ニュアンスに違いがあることが分かりました。
人間は、「喜びや感謝、願い、祈り」に関わる場面では、天や空に仰向き手を合わせるという行動をよく取ります。
誰に習った訳でもありませんが、気持ちが上向きに働く際に、「仰ぐ」という動きをします。
このように、日常の行動心理と日本語の関係性から言葉を分析するのも良いでしょう。