「義理」と「人情」と「仁義」
いずれも同じような言葉に感じますが、何か違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「義理」と「人情」と「仁義」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「義理」の意味とは?
「義理」は「ぎり」と読み、以下の意味があります。
・「物事の正しい道筋」や「人として守るべき道理」
・「社会生活上、立場上、道義上、他人に対して務めたり、報いたりしなければならないこと」
・「人との付き合い上、仕方なくする行為」
・「わけ」や「意味」
また、配偶者の家族など、自分とは血縁関係のない親族関係を指して「義理の父」や「義理の母」と言います。
ちなみに、バレンタインデーにおいて、好意のある男性に渡すチョコを「本命チョコ」と呼ぶのに対して、恋愛感情なしに渡すチョコを「義理チョコ」と呼びます。
「義理」を使った例文
・『この人物は義理堅いことで有名である』
・『無関係の他人に自分の人生をとやかく言われる義理はない』
・『不本意ではあるが、先輩のイベントに義理で参加する』
「人情」の意味とは?
「人情」は「にんじょう」と読み、「人間の自然な心の動き」や「人間のありのままの感情」、「情け」や「思いやり」という意味を持つ言葉です。
「人情」を使った例文
・『下町の人たちは昔から人情に厚いと言われている』
・『周囲の人々の気づかいに、人情の機微に触れる感じがした』
・『人情味のあるエピソードに思わず涙を流してしまった』
「仁義」の意味とは?
「仁義」は「じんぎ」と読み、「道徳上、守るべき道筋」という意味を持つ言葉です。
また、「礼儀上、他人に対して欠かせない務め」という意味も持ち、こちらは先述した「義理」と同じ扱いになります。
「孔子」により創始された「儒教」では、他者を広く愛することを「仁」、物事における正しい道理を「義」とし、「仁義」は思想の根本理念となっています。
他にも「博打打ちなどの仲間内の掟や道徳、初対面の挨拶」という意味もあり、「仁義を切る」とも言われます。
「仁義」を使った例文
・『恩を仇で返すなど、仁義にもとる行為は控えるべきである』
・『彼は、父親に代わって恩に報いたことで仁義を通した』
・『この人物は、仁義を重んじたことで後世に評価されている』
「義理」と「人情」と「仁義」の違い
「義理」や「仁義」はおもに「道徳上で守るべき規範」や「社会生活上の礼儀」を指して用いられることが多いようです。
一方、「人情」は「思いやり」など「人の心」を指して用いられます。
「義理人情(ぎりにんじょう)」という表現もありますが、こちらは「しがらみにより避けられない人との付き合い」や「人に対する思いやり」を意味します。
まとめ
・「義理」は、おもに「人として守るべき道理」や「社会生活上、立場上、道義上、他人に対して務めたり、報いたりしなければならないこと」などを指した言葉です。
・「人情」は「人間の自然な心の動き」や「人間のありのままの感情」、「情け」や「思いやり」という意味を持つ言葉です。
・「仁義」は、おもに「道徳上、守るべき道筋」や「礼儀上、他人に対して欠かせない務め」などを指した言葉です。