昔のニュースなどを見ていると、デモ隊が軍隊に「制圧」されたとか、これによって活動が「鎮圧」されたというような状況が報じられていることがあります。
ここで使用されている「制圧」や「鎮圧」、さらに「征圧」とはどう言う意味なのでしょうか。
それらの違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「征圧」と「制圧」と「鎮圧」の違いを分かりやすく説明していきます。
「征圧」とは?
「征圧」とは、「征」が「征服する」、「圧」が「押さえつける」であるため、「征服して押さえつける」という意味になります。
日常会話ではほぼ使用されない言葉で、特に「征圧」は、「がん征圧」のような限定された文でしか使用されません。
英語では「conquest」が近いでしょう。
「制圧」とは?
「制圧」とは、「力によって押さえつける」という意味です。
「制」に制御すると言う意味があるため、相手をコントロールするような意味が付け加えられます。
ほとんどの場合は、武力や権力などの大きな力を使用して相手を押さえつけることになります。
この言葉も、日常会話ではあまり使用されませんが、3つの中では一番頻繁に使われます。
英語では前述のように「control」といえば伝えられるでしょう。
「鎮圧」とは?
「鎮圧」とは、「鎮めて押さえつける」という意味です。
「鎮める」が、元々は「静める」と同じであることから、「小さくする」というニュアンスが加わります。
「火災を鎮圧する」に関しても、大きかった火災を小さくするという意味があります。
この状態から火が完全に消えると「鎮火」と言う状態になります。
特殊な意味としては、「土地を平にする」という時にも使われます。
英語では、「suppression」が近いでしょう。
「征圧」と「制圧」と「鎮圧」の違い
この3つの言葉は、ともに「何かの状況を押さえ込む」ことであるという意味では同じです。
さらに、「征圧」と「制圧」は言葉を入れ替えてもほとんどの場合は成り立つので、違いは使用されるシチュエーションの違いであると考えて良いでしょう。
「征圧」は、「がんを征圧する」という場合に使われることが最も多く、「努力して押さえ込む」意味が強く、「制圧」は「暴徒が武力で制圧された」といったように「武力で押さえ込む」意味が強く、「鎮圧」は、「火災が鎮圧された」のように、「小さくして押さえ込む」意味合いが強いという違いがあります。
まとめ
この記事では、「征圧」と「制圧」と「鎮圧」の違いを説明してきました。
昔のニュースではよく見かけたこれらの言葉ですが、悪い意味での使用は、できれば今後は見たくはないものです。
しかし、「がんを制圧するための定期的な検査の励行」などにおいての使用は、それらを効果的に実施するためには必要な言葉とも言えます。
何に対しても当てはまることですが、無くなって欲しいようなシチュエーションでしか使われない言葉は、どんどん使われなくなって行くべきでしょう。