「道」を使った熟語として「道理」と「道筋」があります。
このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「道理」と「道筋」の違いについて解説します。
「道理」とは?
「道理」とは、「物事にとってそうあるべきだという正しさ」を意味する言葉です。
「道理」の使い方
ある物事に対する考え方はひとつではありません。
ある人にとっては正しいものだとしても別の人から見れば厄介に写ったり無関心だったりするのは世の常です。
物事に対するいろいろな考え方があるなかで「自明的に正しいとされる考え」のことを「道理」といいます。
「道」という言葉には「物事の論理や考え方」という意味があります。
生け花の論理や考え方は「華道」茶の湯に対する精神や技術のことを「茶道」というように「道」は「体系立てられ共有されている論理としての正しさ」という意味を示しています。
「道理」が表しているのは「多くの人に共有されている規範としての正しさ」です。
「改めて説明するまでもなくわかりきっている正しさ」が「道理」であり「常識」ととても近しい意味合いで使われる言葉です。
共通概念なので絶対的なものではなく場所や時代によって変化します。
例えば男女平等というのは近代社会において当たり前に根付いている「道理」ですが一昔前までは自明の考え方ではなく、世界を見ればそのような考えが浸透していない地域もたくさんあります。
「道筋」とは?
「道筋」とは、「通る道の経路」を意味する言葉です。
「道筋」の使い方
「道筋」とは目的地にいくためにたどる道やパレードの通り道など「道を通る順番」を指します。
本来は歩いたり車で走ったりする物理的な道の順番を意味する「道筋」ですが「経路」という意味合いが転じて「論理的な経過」や「目的を達成するための手順」という意味でも使われています。
「道筋」と似た言葉として「筋道」があります。
筋道は「物事をたどるときの道筋」であり物理的な道のりの意味合いでは使われません。
物事の論理に正当性があることをあらわす言葉として「筋が通っている」という表現があります。
この言葉における「筋」が「道筋」であり「論理」「理屈」という意味合いで使われています。
「道理」と「道筋」の違い
「道理」が表しているのは多くの人に前提として共有されている正しさです。
正義や常識といった意味合いに近い言葉で多くの人が理屈として納得している正しさを表します。
「道筋」は論理としての正しさを意味します。
正当性や常識と照らしあわせたときの整合性とは別に話の論理がきちんと作られている一連の流れが「道筋」です。
漠然とした概念や考えを指すのが「道理」、具体性を持って明確に表されるのが「道筋」という違いで区別されます。
「道理」の例文
・『一方的に値下げしろというのは道理に合わない』
・『無理が通れば道理が引っ込む』
「道筋」の例文
・『目的達成までの道筋を明らかにする』
・『経営再建の道筋をつけるまで辞任しない考えだ』
まとめ
「道」には多くの意味があり「道理」と「道筋」も共通点はあるものの明確な違いのある言葉です。
それぞれが何を指しているのかを正しく理解してふさわしい言葉を使いましょう。