この記事では、「幻想」と「虚構」と「妄想」の違いを分かりやすく説明していきます。
「幻想」とは?
「幻想」【げんそう】とは、現実にないことを取り留めなく想像することです。
「幻想」に使われている漢字の意味を見てみると、「幻」はあるように見えるが実体がないもの、「想」は思いめぐらすことを表しています。
これらの漢字を組み合わせた「幻想」は、実在しないことを心の中に思い描き、あれこれと想像することを意味しています。
「幻想」は、現実離れした世界や夢の世界について、あたかも実在するかのように場面やストーリーを思い描くことです。
まるで夢の世界を見ているような様子は「幻想的」または「ファンタスティック」といいます。
「幻想」の類語は「空想」【くうそう】、「夢想」【むそう】です。
「空想」は現実にない事柄を思い描くこと、「夢想」は夢のような場面を思い描くことで、「幻想」とよく似たニュアンスを含んでいます。
「虚構」とは?
「虚構」【きょこう】とは、事実にない出来事やストーリーを作り上げること、作り話のことです。
漢字の「虚」はいつわりという意味、「構」は組み立てるという意味を持っており、これらの漢字を組み合わせた「虚構」は、いつわりの話を意図的に作り上げることを表します。
「虚構」は、主に小説、ドラマ、映画などの作品において、実在しない登場人物やストーリーを創作することを意味します。
事実ではありませんが現実にある話のようにリアルに作られているのが特徴で、「フィクション」とも呼ばれます。
類語は「架空」【かくう】、「作り話」です。
どちらも事実に基づかず想像して話を作り上げることを指しています。
「妄想」とは
「妄想」【もうそう】とは、実在しないことを頭の中であれこれ思い描くこと、または、誤った概念や信念を強く抱く病的な現象のことです。
漢字の「妄」はいつわり、道理から外れていることを意味し、「想」は思いめぐらすという意味を持っています。
これらの漢字を組み合わせた「妄想」は、事実と異なる事象を思い描く様子を表します。
「妄想」は、事実にない事象を頭の中で自分の都合が良いように書き換え、それが事実だと思い込むことです。
さまざまなタイプがあり、誰かに害を与えられていると思い込む「被害妄想」や自分に優れた能力があると思い込む「誇大妄想」などがあります。
中には、脳神経疾患や精神障害が原因で起こる病的な「妄想」もみられます。
類語は「空想」「迷妄」です。
事実にないことを思い描くところが「妄想」と共通していますが、「空想」は事実にない事象や物語を考えること、「迷妄」は道理にうとく誤った概念を信じ込んでしまうことなので、「妄想」とはニュアンスが少し異なります。
「幻想」と「虚構」と「妄想」の違い
「幻想」「虚構」「妄想」はいずれも事実と異なることを思い描く様子を表しますが、意味には少しずつ違いがあります。
「幻想」は現実離れした世界について思い描くことです。
「虚構」は、事実にないと分かっていて意図的に話を作り上げたもので「フィクション」ともいいます。
「妄想」は「幻想」と似ていますが、「幻想」は事実ではないと分かっていて夢のような世界を想像するのに対し、「妄想」はいつわりを事実だと思い込むところに違いがあります。
まとめ
「幻想」「虚構」「妄想」は現実にないことを空想するニュアンスを持ちますが、それぞれの意味は異なります。
正しい意味を理解し、混同しないように使い分けていきましょう。