この記事では、「直観」と「直感」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「直観」と「直感」の違い
後にくる「かん」という漢字が「観」と「感」と異なり、「ちょっかん」と同じ読み方となる「直観」と「直感」には、使用している漢字の意味の違いで異なった意味を持つ言葉となります。
まずは、意識の有無です。
「直観」と「直感」の違いには、意識があるか、ないかがポイントで、意識があることを「直観」。
「直感」は意識がないものとなります。
つまり、無意識の状態が「直感」となります。
意識があること、ないこと、と言われてもピンとこないかと思われます。
この場合の意識とは、自分自身の今までの経験や記憶を意味します。
「直観」は、自分自身が今までに経験してきたことや記憶によって判断されることに対し、「直感」の場合は、今までの経験の記憶など関係はありません。
そして、また、その判断、考えに対し論理的な説明ができない状態をします。
反対に「直観」の場合、論理的な説明は可能です。
この論理的な説明ができるか、できないか、の違いも「直観」と「直感」の大きな違いです。
また、「直観」の「観」には、「観る」という意味があり、しっかりとものごとを観る、視覚となります。
一方、「直感」の「感」の意味は「感じる」です。
感じるという漢字を用いる「直感」には、自分自身の身体で感じるといったような触覚という意味もあります。
「直観」と「直感」の使い方の違い
自分自身の心の目で観るといった意味がある「直観」。
自分自身の身体で感じる、その中でもなんとなく感じる、という意味となる「直感」。
これらの意味の違いを踏まえた使い方の違いがあります。
例えば、「女性の直感は鋭い」の場合、「直感」を選択します。
男性に比べ、相手の感情を読み取る力が高い女性。
その結果、このような言葉が用いられるようになっています。
その行為は、無意識のうちに考えられる行動となり、そのため、「直感」という文字が使用されます。
「直観」を使用する場合は、「直観的な判断」という言葉があり、この場合の意味は、推理ではなく、瞬間的に本質を見て判断することを意味しています。
「直観」と「直感」の英語表記の違い
「直観」の英語は、intuition、《口語》 a hunch、《口語》 a gut feelingです。
「直観する」は、know by intuition [【形式ばった表現】 intuitively]、feel something in one’s bones 「直観的な」は、【形式ばった表現】 intuitive. となります。
「直感」の英語は、hunch; intuitionです。
「直感的に」は、by intuition 「直感的に知る」は、to know something intuitivelyとなります。
「直観」の意味
意識がある状態での考え、判断を意味する「直観」。
推理を行うことはありませんが、自分自身の今までの経験や記憶を基にして判断し考えた結果が「直観」です。
そのため、意識がある状態の考えと言えるのです。
「直観」の場合、対象となるものは直接的にとらえることとなります。
直接的にとらえるという意味には、真実を心の目で確かめ、本質を見抜いて判断しているということが含まれています。
「直観」の使い方
今までの経験や記憶を基にする「直観」。
「直観力」、「直観的リアリズム」、「芸術的直観」、「直観性」、「先天的直観」、「真理を直観する」などといった使い方があります。
「直観」を使った例文
・『私も彼女のように直観力が優れた人になりたいと願う。』
・『経験や記憶を基にする直観を鍛えるためには、本を読むことも大切です。』
・『記憶することが大切な直観において、メモを取るということは大切です。』
・『彼は、芸術的直観がすばらしい。それは、作品を見ればわかります。』
「直観」の類語
ものごとの真理をとらえる意味の「直観」の類語には、直観、直覚、達観、観照があります。
そのほか、第六感や洞察力、疑心、疑念、予感、勘なども「直観」の類語になります。
「直観」の対義語
「直観」の対義語は、推論です。
推論には、事実をもとにし、未知のことを論じるといった意味があります。
「直感」の意味
自分自身、意識がない状態での考えや判断を意味する「直感」。
推理することもなく、その時の感覚のみで判断した結果を意味しています。
そのため、意識がない状態の考えだと言えるのです。
「直感」の場合、対象となるものは感覚的にとらえます。
そのため、そのことについて論理的な説明を行うことはできません。
「直感」の使い方
感覚だけで判断するといった意味を持つ「直感」。
使い方としては、「天才的直感」、「直感的ヒント」、「鋭い直感」、「神秘的直感力」、「直感で感じる」、「直感に惹かれる」、「直感が的中する」などとなります。
「直感」を使った例文
・『君と僕は運命の出会いをしたと直感しました。なので、結婚してください。』
・『もっと、直感力のある人になりたいと思う。』
・『私は考えてばかりで、なかなか、行動することができません。なので、直感的に行動することができる人を羨ましいと思います。』
・『私は彼が浮気をしていると直感的に気づいた。』
「直感」の類語
感覚で判断するといった意味の「直感」。
そんな意味を持つ類語は、勘、直感、山勘、当て推量、などがあります。
そのほか、疑惑や予覚、疑心、疑念、洞察力、第六感、直覚なども「直感」の類語になります。
「直感」の対義語
「直感」の対義語に明確なものはありません。
ただし、考えられる対義語としては、推理、考察があります。
まとめ
以上が「直観」と「直感」の違いです。
以上のことをもとにまとめると、「直観」には、意識があり、経験や記憶を基にした考え、判断ということになります。
一方、「直感」には、意識がなく、無意識に考えられた考えや判断となります。
また、「直観」は論理的な説明が可能となるものの、「直感」は、論理的な説明を行うことはできません。
これは、「直観」と「直感」の違いとしてはわかりやすく、大きな違いです。
以上のことから、同じ読み方でも意味が異なる「直観」と「直感」となります。
ぜひ、これらの違いを踏まえ的確な使い分けを行うことをおすすめします。