この記事では、「放棄」と「放置」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
放棄と放置の違い
「放棄」には、2つの意味があります。
1つめは、投げ捨ててかえりみないことです。
もう一つは、権利や資格などを捨てて行使しないことです。
「放置」は、ほうっておくことです。
「放棄」の場合には、捨てるという意味が含まれていますが、「放置」にはその意味は含まれていません。
たとえば、子どもがおもちゃで遊んだあと、片付けずにそのままにしていました。
この状態はおもちゃを「放置」しているといえます。
使ったものをほうってそのままにしている状態です。
ほうっておいても、おもちゃを捨てたのではないため、「放棄」ではありません。
「放棄」は自分のものを意識的に捨てること、「放置」はそのままにしておくことという違いがあります。
放棄と放置の使い方の違い
「放棄」は、自分のものを意識的に捨てるときに使用します。
捨てるものは、権利、責任、資格などで物質的なものにはあまり使用しません。
「放置」は、そのままの状態にしておくことに使用します。
おもちゃ、自転車などの物質にも、事態や問題など非物質にも使用できます。
放棄と放置の英語表記の違い
「放棄」は英語で“abandoned”と表現をします。
「放棄する」と動詞になると“give up”です。
「放置」は英語で“abandoned”と表現をします。
放棄の意味
「放棄」には、2つの意味があります。
1つめは、投げ捨ててかえりみないことです。
「責任を放棄する」というと、自分にある責任を捨て、まったく気にしないことを意味します。
もう一つの意味は、自分の権利や資格を捨てて行使しないことです。
「選挙権を放棄する」というと、自分が持っている選挙権という権利を捨てて、選挙に投票しないことを意味します。
「放棄」の1つめの意味にも2つめの意味にも、自分の持っているものを意識的に捨てる意味があります。
放棄の使い方
自分の持っているものを捨てることに使います。
「放棄」が指す捨てるものは物質ではなく、権利、責任、資格など非物質のことが多いです。
「セーターを放棄する」とは使いません。
伸びたり、縮んだり、穴が開いたりしたセーターはもう着ることがなく、いらないものです。
いらなくなったものはゴミとして捨てます。
自分が持っていたものを捨てることですが、このような物には「放棄」という言葉を使用しないことが一般的です。
テニスの試合に参加することが決まっていましたが、面倒くさくなって試合に出ることをやめました。
試合にエントリーをしている場合、試合にでる資格を持っているといえます。
怪我などの場合は止むを得ないことですが、そうではなく自分で試合に出る資格を捨てた場合、このことを「放棄」といいます。
このように、権利、責任、資格などを意識的に捨てることに使用します。
放棄を使った例文
・『今日出場予定だった試合を放棄する』
・『すべての資格を放棄する』
・『望みを放棄する』
・『選挙権を放棄しないでください』
・『その役割を放棄することはできない』
放棄の類語
「遺棄」が類語です。
捨ててはいけないものを捨ててかえりみないこと、置き去りにすることという意味があります。
放棄の対義語
「行使」が対義語です。
権利や権力を実際に使うという意味があります。
放置の意味
「放置」とは、そのままにしてほうっておくこと、気にかけないで置きっぱなしにしておくことです。
ほうるには、途中でやめる、そのまま放置するという意味があります。
つまり、「放置」はそのままにしておいても、捨てるという意味は含まれていないことになります。
毎日残業続きで忙しく疲れていると、脱いだ服はそのまま床やソファーに上に置きっぱなしになってしまうことがあるでしょう。
コンビニでお弁当を購入して、自宅で食べた後に、容器をテーブルの上に置きっぱなしにしてしまうこともあるはずです。
脱いだ服をそのままにしてほうっておき、食べたもののゴミをそのままにしてほうっておく状態なので、このような状態を「放置」といいます。
放置の使い方
そのままにしておくことに使用をします。
そのままにする対象とは、服、ゴミ、おもちゃなどの物質、事態や問題のような非物質、両方を指しています。
放置を使った例文
・『服を脱いで放置する』
・『自転車が大量に放置されている』
・『問題は解決されずに放置された』
・『パンを常温で放置していたらカビが生えてしまった』
・『何とかしなければと思いつつも、放置し続けている』
放置の類語
「野放し」「放任」が類語です。
「野放し」には、動物を放し飼いすること、手をつけずにほうっておくことという意味があります。
「放任」は、干渉せずにほうっておくことです。
放置の対義語
「放置」の対義語はありませんが、強いて言えばそのままにせず適切な行動をとるという意味で「対処」になります。
まとめ
「放棄」は捨てること、「放置」はそのままにしておくことで、意味の違う言葉です。