「逝去」と「死去」と「他界」は、同じような意味の言葉ですが、使われる場面が少し違います。
これらの言葉がどのような場面で用いられるか、詳しく見てみましょう。
この記事では、「逝去」と「死去」と「他界」の違いを分かりやすく説明していきます。
「逝去」とは?
「逝去」の「逝」という漢字は、遠くに行って戻らないことを表し、人が亡くなるという意味となっています。
「逝去」は、死ぬことを尊敬した言い方です。
なので、身内が死ぬときには使いません。
身内以外の人が死ぬときに敬意を示して「逝去」と言います。
「逝去」の例文
・『かねてより療養中だった係長のお父様が、逝去されました』
「逝去」はこの言葉自体が尊敬語ですが、「逝去された」のように、より丁寧な尊敬の表現で使われます。
・『前社長がご逝去されたとのことで、心よりお悔やみ申し上げます』
亡くなった方への敬意を込めて「ご逝去された」という言い回しを主に用います。
「死去」とは?
「死去」は、特に身内の死に対して用いられる言葉です。
「死去」には尊敬の意味は含まれていません。
また、ニュース番組などの報道の場で、有名人が亡くなった事実を広く伝えるために「死去」が使われています。
この場合は紙面などでよく見かけるでしょう。
「死去」の例文
・『俳優のTさんが84歳で死去』
新聞の見出しなどで見かけるように「死去」が使われています。
この場合、故人が亡くなったという事実のみを大衆に伝える目的で、尊敬の意味を含めずに表現しています。
・『昨日、祖父が死去致しました』
身内や、会社の従業員が亡くなった場合、外の人にそれを伝えるとき「死去」を用いています。
「他界」とは
「他界」も、人が亡くなるときに使う言葉であるのは上の二語と同じですが「他界」には、尊敬の意味は含まれていないので、身内以外の死に関しては「他界なさった」と尊敬の意味を加えて用います。
「死去」は人が亡くなることに対して直接的ですが、「他界」には「死」をオブラートに包んだ響きがあります。
人が亡くなることへの配慮を込めた言い方です。
「他界」は名詞だと、あの世の意味があります。
亡くなったことを表す「他界した」以外にも名詞としての意味がある言葉なので、その点が「逝去」や「死去」との違いになります。
「他界」の例文
・『父は二年前に他界しました』
「他界」は身内にも使います。
そのときは「他界しました」となり尊敬の言い回しは付けません。
・『先生が他界された訃報を読んだ』
身内以外の方へも「他界された」という言い回しをすることがありますが「逝去された」の方が使われる頻度は高い印象です。
「逝去された」は、他の人の目に映る手紙などで使われ、「他界された」は個人的な日記やブログなどで主に用いられるようです。
「他界された」より「逝去された」が尊敬の度合いが強いからです。
「逝去」と「死去」と「他界」の違い
この三語の中で「逝去」のみ言葉内に尊敬の意味が込められています。
「死去」も「他界」も人が亡くなった事実を表すのみとなります。
「他界」には「死去」のように直接的な「死」に対しての表現がなく、柔らかい表現です。
亡くなることへの配慮が少し伺えるのが「他界」です。
身内に使い、報道で目にするのが「死去」であり、身内以外の死に対して敬意を表すのが「逝去」で、「他界」は身内以外も使えますが、その場合「他界された」のように尊敬表現を用います。
まとめ
「逝去」と「死去」と「他界」の三語ですが、この言葉だけ見ると同じように見えますが、使い分けが決まっているので適切に使いたいものです。
細かい言い回しも表現できるようになれたら良いでしょう。