この記事では、「質素」と「地味」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
質素と地味の違い
「質素」には、2つの意味があります。
1つめは、飾り気がないことや、そのさまです。
もう一つは、生活や服装などが贅沢ではなく、控えめで倹約なことや、そのさまです。
「地味」にも2つの意味があります。
1つめは、はなやかさがなく、目立たないことや、そのさまです。
もう一つは、生活や服装などに飾り気がなく、控えめなこと、質素、またそのさまです。
どちらの言葉にも「控えめ」という意味が含まれています。
「地味」には「質素」という意味があるため、2つの言葉が意味しているものは同じになります。
質素と地味の使い方の違い
意味に大きな違いはないため、使い方に大きな違いもありません。
しかし、「質素」に比べると「地味」はネガティブな意味を含んでいます。
「質素な服装だね」といったとき、控えめで落ち着きがあるといったよい意味が含まれています。
一方、「地味な服装だね」というと、ださい服装だという意味にとられることがあります。
ネガティブな意味が込められているのです。
服装や生活態度などを指して使われることが多く、使われる場面にも大きな違いはありません。
しかし、「地味」は「地味な性格」のように、性格や考え方にも使うことができます。
「質素」は性格や考え方には使用しません。
質素と地味の英語表記の違い
「質素」は英語で、つつましいという意味では“frugal”と表記をし、飾り気のなさという意味では“simple”や“plain”と表記をします。
「地味」は英語で“plain”と表記をします。
「地味な色」は、“quiet colors”や“subdued colors”となります。
質素の意味
「質素」には、2つの意味があります。
1つめは、飾り気がないこと、そのさまです。
「飾り気」とは、美しく見せようと装飾すること、表面をよく見せようとすることです。
自分をよく見せようと美しく装飾しないことが、「飾り気がない」が意味するものになります。
よく見せようとしないからといって、身だしなみがいい加減なのではありません。
そのような意味は含まれていない言葉です。
2つめの意味は、生活が贅沢ではなく、控えめで倹約なことです。
現代の日本はものであふれており、贅沢な暮らしをしようと思えば、ブランドものの食器をいくつもそろえる、高級なアクセサリーを身につける、高級品といわれる食材を使った料理を食べるなどすることができます。
これとは対照的な生活が「質素」です。
質素の使い方
控えめなことに使用をします。
特に、生活や身なりを指して使われることが多いです。
控えめというとネガティブにとられることがありますが、「質素」はネガティブな意味で使われることは少ないです。
質素を使った例文
・『彼の質素な生活を見習う』
・『彼女はいつも質素な服装だ』
・『これからは質素に暮らしていこうと思う』
・『質素な服装がよく似合っている』
・『健康のために質素な食事にする』
質素の類語
「地味」「簡素」「つましい」が類語です。
「簡素」には、無駄なところを省いて飾り気がないという意味があります。
「つましい」は、倹約した生活ぶりのことです。
質素の対義語
「派手」が対義語です。
「派手」には、姿、形、色などが一目を引くこと、態度や生活などがおおげさなことの意味があります。
地味の意味
「地味」には、2つの意味があります。
1つめは、形や色などにはなやかさがなく、控えめなことです。
グレー、ネイビー、ブラック、カーキ、ブラウンなどは、控えめな色といわれています。
これらの色は、はっとされるほど一目につくものではありません。
2つめの意味は、性質、考え方、態度などが飾り気がなく控えめなことです。
「地味な生徒」というと、授業中の発言が少ない、友達と大声で叫ぶことはない、成績はぱっとしない、このような生徒を連想させます。
地味の使い方
形、模様、性質、考え方、態度などが控えめなことに使用をします。
「控えめ」は目立たないことなので、形、模様、性質、考え方、態度などが、はっと一目につくようなものではないことに「地味」という言葉が使用されています。
たとえば、「地味な商売」というと、大企業のようによく名前は知らることがない商売や、陰で支えるような商売のことを指しています。
地味を使った例文
・『地味な服装を好む』
・『地味だけれど、なかなかよい雰囲気がある』
・『彼は地味な人だ』
・『地味に暮らすのがあっている』
・『卒業式には地味な服装をしてきてください』
地味の類語
「質素」「簡素」「つましい」が類語です。
地味の対義語
「派手」が対義語です。
まとめ
「地味」の意味に「質素」があり、「質素」も「地味」も同じような意味を持っています。
使われ方もほとんど同じなのですが、性質や考え方などには「質素」は使わないのに対し、「地味」は使うことができます。