この記事では、「多様な」と「様々な」と「色々な」の違いを分かりやすく説明します。
「多様な」とは?
異なるものが多い様子を表す言葉です。
例えば、生物多様性の文脈では、生態系、種、遺伝子の三階層の多様性が論じられます。
一地域内での生態系の多様性は、森林などでは地下から樹冠まで、水中では底泥から水面までの三次元方向、季節などの時間軸によって生物の組合せが変わります。
それぞれが複雑に相関し合い、バランスを保っています。
そこに存在する生物の種類の多様性が、多くの人にとって最もイメージしやすい「多様性」です。
遺伝子の多様性は、同一種の遺伝的組合せの多様性です。
特定種の個体数が減少し、一組のつがいから生まれた家族のみでは、その後、近親交配が進む為、遺伝的に脆弱で、絶滅の危機を乗り越えられません。
「様々な」とは?
あれこれ異なっている様子を表す言葉です。
雑貨など物品がたくさんの種類ある状態や、服装などの様子が異なるものが何通りもある状態、特定の事物を複数の観点から捉える視点の角度などがあります。
「色々な」とは
様々な色、つまり実際の色彩について言う場合と、副詞的な用法で、種類の多い様子を表す場合があります。
比較的口語的な用いられ方をする単語なので、改まった書類や公文書などでは、実際の色彩について語る場合を除き、使用を控えた方が無難です。
「多様な」と「様々な」と「色々な」の違い
「多様な」は、幅広く異なる性質を持つ群が存在する状態を指します。
「様々な」は、単に種類が豊富なだけでなく、それぞれのモノが異なる状態を表す場合もあります。
「色々な」は、種類が豊富にある様子や、実際の色彩が豊かな場合にも用いられます。
まとめ
人間の社会に於いても、十人十色、外見、思想信条、社会的な立場など同じ家族や組織に属する人々でも、全く同じになることはありません。
一卵性双生児でも、思考や社会的な立場など内面や周囲との関りまで完全に一致することは極めて稀です。
ビジネスの場では、国籍、使用言語、性別、年齢などの属性と価値観やポリシーなどの思考的条件について、多様な人材が求められます。
例えば、同じ業務でも、異なる条件を持つ人材が複数集まって取り組めば、その人数分の異なる視点から考察が可能になり、そのプロジェクトの潜在的なメリットや欠陥に気付きやすくなります。
年齢階層や家庭環境が異なる集まりなら、社員が全員同時に妊娠、出産、育児、介護などで職場を離れ、プロジェクトが回らなくなると言う事態を回避することも可能です。
自分と異なる条件を持つ人々をその違いを理由に排除することなく、相互に理解して、生態系のバランスを保つ生物の多様性と同様、上手く組織や社会を回してゆければ、理想的です。
日本では、2001年にユネスコの「文化的多様性に関する世界宣言」を採択しました。
過度なグローバリゼーションと単一の価値観に基づく画一化から、固有の文化を保護する宣言です。
文化に限らず、社会の多様性についても詳しく知りたい方は、文化庁のサイトで確認することをお勧めします。