「引退」と「隠居」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「引退」と「隠居」の違い生活・教育

この記事では、「引退」「隠居」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

引退と隠居の違い

「引退」とは、役職や地位からしりぞくこと、スポーツで現役をやめることです。

「隠居」には、2つの意味があります。

1つめは、職業や地位からしりぞいて、静かに暮らすことです。

もう一つは、俗世を離れて山野で静かに暮らすことです。

「引退」「隠居」の1つめの意味は似ているようですが、同じことを指しているのではありません。

どちらの言葉にも、地位や役職から退くという意味があります。

退くとは、職業などをやめることです。

「引退」は単に役職や地位を退くことですが、「隠居」は役職や地位から退き、さらに静かに暮らす意味も含まれています。

「隠居」には、静かに暮らすという意味が含まれている点が「引退」とは違います。

たとえば、社長をやめることは「引退」であり、社長を「引退」しても、相談役などとして活躍する人がいます。

「引退」をしても、何らかの形で会社とかかわっていくことはでき、この場合は「隠居」ではなく「引退」です。

社長をやめて、会社とは今後一切かかわらず、静かに暮らすことは「隠居」といいます。


引退と隠居の使い方の違い

役職、地位、スポーツの現役などから退くことに、「引退」を使用します。

役職、地位、スポーツの現役などから退き、さらに静かに暮らすようなことには、「隠居」を使用します。

どちらの言葉も役職や地位から離れている点では同じですが、静かに暮らす意味が含まれているなら「隠居」、そうでないなら「引退」になります。

また、役職や地位などにもともとついていなかった場合でも、俗世から離れて静かに暮らすことには「隠居」を使用します。


引退と隠居の英語表記の違い

「引退」は英語で“retirement”と表記をします。

「隠居」は英語で“retirement”と表記をします。

「隠居」をするのは、高齢になってからのことが少なくありません。

老人という意味で“the old gentleman”とも表記をします。

引退の意味

「引退」とは、地位や役職などからしりぞくこと、スポーツの現役をやめることです。

役職などから退いた後には、その役職などには戻らないことが一般的です。

スポーツ選手が現役をやめたとき、「引退」したとニュースで伝えられます。

「引退」をした後に監督として活躍したり、芸能活動をしたりする方もいます。

これは、「引退」後も働いているじゃないかと思うかもしれませんが、「引退」前に行っていたことと、「引退」後にお行っていることは別のもので、もとの役職などに戻っていることとは違います。

引退の使い方

これまで行ってきた仕事やスポーツの現役などをやめること、やめたことに使用をします。

定年で会社をやめることは、一般的には「退職」といいますが、現役で働いていたことをやめるので、現役を「引退」するということもできます。

引退を使った例文

・『長年活躍していたスポーツ選手が引退をする』
・『引退宣言に多くの人が驚いた』
・『引退後は若い世代を育てていくつもりです』
・『引退を考え始める』
・『3年生は部活を引退した』

引退の類語

「退陣」「退職」「退任」などが類語です。

「退陣」とは会社の経営者など高い地位から退くこと、「退職」とは務めていた仕事をやめること、「退任」とは任務をやめることです。

引退の対義語

「就職」が対義語です。

「就職」には、職業につくという意味があります。

隠居の意味

「隠居」には、2つの意味があります。

1つめは、職業や家業から離れて静かに暮らすことです。

1947年に改正される前の親族・相続に関する規定では、家長が生前に家督を相続することを意味していました。

自営業をしていた人が仕事をやめ、自分は仕事に一切かかわることがなく、子どもに仕事を任せることなどを「隠居」といいます。

もう一つの意味は、世俗を離れて山野で静かに暮らすことです。

隠居の使い方

職業などをやめて静かに暮らすことに使います。

これまでついていた仕事をやめてからも、相談役などとしてこれまでの仕事とかかわりを持つことがありますが、こういったことは「隠居」とはいいません。

職業などをやめて、さらに静かに暮らす場合に「隠居」という言葉を使用します。

隠居を使った例文

・『隠居の心配をする』
・『隠居をしているご老人』
・『隠居をして静かに暮らそうかと考える』
・『早く隠居をしたいものだ』
・『隠居するつもりなどない』

隠居の類語

「幽居」が類語です。

「幽居」には、世を避けて静かに暮らす意味があります。

隠居の対義語

「現役」が対義語です。

「現役」には、現在地位や職業について活躍する意味があります。

まとめ

同じような意味を持っている2つの言葉ですが、「引退」は現役からしりぞくこと、「隠居」は現役からしりぞいて静かに暮らすことです。

静かに暮らすという意味の有無に違いがあります。