この記事では、「出勤停止」と「ご自宅待機」と「自宅謹慎」の違いを分かりやすく説明していきます。
「出勤停止」とは?
「出勤停止」は企業における懲戒処分の一種で、労働者が会社に出勤することを一定期間禁止することを指します。
従業員が就業規則をやぶった場合、企業は労働契約にのっとって、その従業員を一定期間「出勤停止」にすることができます。
「出勤停止」中に出社することはもちろん、業務に携わることも禁止されます。
また、規則を違反した従業員に対する制裁にあたるため「出勤停止」の期間中は賃金が支給されません。
「出勤停止」は1週間程度、長くても1か月であることが一般的です。
ただし状況によって期間が長くなることもあります。
なお、懲戒処分以外の理由で出勤停止にする場合は「自宅待機」の扱いになります。
「ご自宅待機」とは?
「ご自宅待機」とは、職場へ出勤することが不適切とみなされる労働者の出勤をしばらく禁止することです。
「自宅待機」は、主に以下の理由によって従業員の出勤を禁止する必要がある場合に発令されます。
・懲戒処分にするための調査・準備期間に入る
・災害・機器の故障、事業縮小などで、従業員に出勤してもらう必要がなくなる
・従業員が感染症に感染した、またはその疑いがある
従業員は業務命令に従う義務があるため、命じられた期間は出社が一切できません。
「ご自宅待機」の期間中は有給扱いとなり、従業員は休業手当を支給してもらえますが、有給・無休のどちらになるかはその時々の事情によります。
不可抗力、自宅待機の原因が従業員にある(規約違反による懲戒処分など)など、やむを得ない事情がある場合は、企業は従業員に給料を支払う必要はなく無給の扱いとなります。
なお、自宅待機は業務上の命令ですが「ご自宅待機」は敬意を示す表現になっているので、ニュアンスとしては「ご自宅で待機してください」とお願いする言い方になります。
「自宅謹慎」とは
「自宅謹慎」【じたくきんしん】は、処罰の一種で、企業の従業員や学校の生徒を自宅で過ごさせることを指します。
目的は、規約をやぶった罰として自分のとったおこないを反省させることにあります。
「謹慎」とは外出と活動を自粛させることです。
勤務先や学校から「自宅謹慎」を命じられた者は、出勤や通学を禁じられ、「自宅謹慎」が解除されるまで原則として自宅で過ごさなければなりません。
従業員が「自宅謹慎」を命じられることは、「出勤停止」になることとほぼ同じ意味合いを持ちます。
「出勤停止」と「ご自宅待機」と「自宅謹慎」の違い
「出勤停止」「ご自宅待機」「自宅謹慎」は共に、従業員が企業から出勤を一定期間禁じられる対処を指します。
「自宅謹慎」は罰則の一種で、出勤を禁止じ自宅で過ごさせることです。
生徒が通学を禁じられるケースも含みます。
「出勤停止」は従業員が罰則として無給で「自宅謹慎」にされる場合と、罰則ではなく企業の業務命令で出勤を禁止される場合があります。
「ご自宅待機」は業務命令による「出勤停止」と同じ意味合いを持ち、待機中は休業手当が支給されます。
企業ごとの就業規則や状況にもよりますが、このようにそれぞれの内容は重複する部分を持ちながら、少しずつ意味合いが異なっているのです。
まとめ
「出勤停止」「ご自宅待機」「自宅謹慎」は労働問題に関連する用語です。
企業にお勤めの方は目にする機会のある言葉なので、ぜひ意味を理解して使い分けができるようにしておきましょう。