この記事では、「雑炊」と「お粥」と「おじや」の違いを分かりやすく説明していきます。
「雑炊」とは?
「雑炊」【ぞうすい】とは、だし汁にご飯と具を入れ調味料で味付けしてさっと煮た料理のことです。
鍋にだし汁、ご飯、お好みの具を入れてしょう油や塩などの調味料で味付けして作ります。
また、ご飯に粘り気が出ないよう、ご飯を軽く水洗いしてから作ることもあります。
「雑炊」という名前は、水を増やして煮ることを意味する「増水」【ぞうすい】に由来しています。
かつて、ぞうすいは水でかさ増しして似たものを指していたため、「増水」と表記されていました。
具を入れて煮込むようになったため「雑炊」の字があてられるようになったのです。
「雑炊」は、鍋料理をした後の「しめ」として、残り汁にご飯を加えて作ったものが一般的です。
鍋の残り汁には鍋の具から出た旨みが詰まっています。
「雑炊」にするとご飯が汁を吸収するので、しめに「雑炊」を食べることで鍋の旨みを余すことなくいただけるメリットが得られます。
また、似たご飯は消化が良く「雑炊」は具が入って栄養のバランスが良いことから、夜食や療養中の食事に用いられることもあります。
「お粥」とは?
「お粥」【おかゆ】とは、米を大量の水で柔らかく炊いた料理です。
米を味付けせずに炊いた「白粥」のほか、あずきを加えて作る「小豆粥」やほうじ茶など炊く「茶粥」、中華だしで炊いてさまざまな具をのせる「中華粥」など、さまざまな種類があります。
「お粥」は、ご飯を炊く時よりも多い分量の水で米を炊くので、ご飯が水分を吸って柔らかくなります。
崩れた米から出るでんぷん質のはたらきで水分に粘り気が出て、水分はのり状になるところが特徴です。
米と水を1対5の割合で炊いた硬めのお粥は「全粥」といいます。
水の割合が増えるごとに「七分粥」「五分粥」「三分粥」と呼び方が変わり、水の分量が増えるにつれ「おも湯」(お粥の上澄みの部分)の占める割合が多くなります。
「お粥」はとても消化が良く胃腸に負担をかけないので、療養食、離乳食などに用いられます。
また、水でかさ増ししてあるためカロリーが低いことからダイエット食としても見直されています。
「おじや」とは
「おじや」とは、だし汁にご飯と具を入れ調味料で味付けして煮込んだ料理のことです。
基本的に「雑炊」と同じ料理を意味します。
「おじや」の作り方は「雑炊」と変わりません。
ただし「雑炊」と区別して「雑炊よりも長く煮込んでとろみを出したもの」「醤油や味噌で味付けしたもの」を「おじや」とみなす人もいます。
「おじや」と呼ばれるようになった理由については、諸説があります。
一説によると、じやじやと煮えることから女房ことば(水をおひや、かつお節をおかかと呼ぶ言葉づかい)として「お」を付けて呼ばれるようになったのではないか、と言われています。
「雑炊」と「お粥」と「おじや」の違い
「雑炊」「お粥」「おじや」は、ご飯を多めの水分で煮て作る料理です。
「雑炊」と「おじや」は炊いてあるご飯をだし汁や具で煮ますが、「お粥」は生米を水で炊いて作るところが異なります。
「おじや」は「雑炊」と同じものです。
ただし「雑炊」は煮込む時間が短くさらっとしている、「おじや」は煮込んでとろみがついている、といった違いがあるともいわれます。
まとめ
「雑炊」「お粥」「おじや」は、家庭や地域によっても作り方やとらえ方が違い「こうでなければならない」という決まりがありません。
「お粥」は作り方が違い、「雑炊」と「おじや」は基本的に同じ料理ということをおさえておくとよいでしょう。