この記事では、「考慮」と「勘案」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「考慮」と「勘案」の違い
「考慮」は、「一つあるいは複数の対象についてよく考える、考えて配慮する」を意味しています。
「考慮」と比較して「勘案」は、「複数の対象について合わせて考えること」を示している違いがまず挙げられます。
「勘案」は元々は公官庁などで使われるお役所言葉としての来歴もあり、あまり一般的な言葉ではありません。
そのため、フォーマルな文書や場面を除いては、「勘案」よりも「考慮」のほうが「じっくり考えること」を意味する一般的な言葉として認識されている違いもあります。
また「勘案」には、「その対象についてよくリサーチしてから考えて判断する」という「考慮」にない意味もあります。
「考慮」と「勘案」の使い方の違い
「考慮」と「勘案」の使い方でもっとも分かりやすい違いは、「勘案」は基本的にかしこまったフォーマルな場面や文面でしか使われないということです。
「考慮」は「勘案」と比較すると、カジュアルな場面でもフォーマルな場面でもどちらでも使用できる一般的な言葉である違いを指摘できます。
「考慮」は「考えることが一つでも複数でも使える言葉」ですが、「勘案」は原則として「複数の考えるべきことや事情を合わせて考える時に使われる言葉」であるという違いもあります。
「考慮」と「勘案」の英語表記の違い
「考慮」を、英語を使用して表記すると以下になります。
“consideration”……物事について色々な要素を合わせてしっかり考えること。「考慮」を意味する名詞です。
“consider~”……~についてよく考える。「考慮する・じっくりと考える」を意味する動詞です。
“think over~”……~についてしっかり考える。「考慮する・よく考える」を意味する動詞になります。
“deliberate on~”……~について時間をかけて熟慮する。「考慮する・熟慮する」を示す動詞です。
「勘案」を、英語を使って表現すると以下になります。
英語では、「考慮」と「勘案」の使い分けは基本的にありません。
“consideration”……ある物事と他の物事を考え合わせること。「勘案」を意味する名詞になります。
“take~into consideration”……「~を勘案する」を意味する英語のイディオムです。
「考慮」の意味
「考慮(こうりょ)」とは、「ある事柄についてしっかりと考えること」を意味しています。
「考慮」の表現は、考える対象の数が一つの場合にも複数の場合にも使われます。
「考慮」には、「複数の前提となる要素や事情を合わせて考える」のニュアンスがあります。
また「考慮」の言葉には、「しっかりとその物事・人について考えながら事情に配慮する」といった意味合いも備わっています。
「考慮」の使い方
「考慮」は、「ある物事を深く考える、よく考えて配慮する」を意味して使います。
「考慮」の使い方は、「複数の要素や前提などを含めてじっくり考える」を示唆して使う使い方になります。
「考慮」は、「考慮する・考慮しない・考慮に入れる・考慮に入れない」などの表現を使って使用することができます。
「考慮」を使った例文
・『今回は小学生である彼の年齢も考慮して、口頭での厳重注意の処分だけにしておくことにします。』
・『この生徒が頑張ってきた課外活動やボランティアも考慮に入れていただければ幸いです。』
・『潜在的な新規ビジネスの市場規模を考慮すれば、数億円程度の先行投資はかなり割安に思えます。』
・『想定外のアクシデントが起こる可能性も考慮して、綿密な計画を立てています。』
・『家族みんなの幸せを考慮すれば、いったんこの持ち家を手放したほうが良いと判断しました。』
「考慮」の類語
「考慮」の類語には、以下の言葉があります。
・『思慮(しりょ)』……色々な事柄に思いを巡らせながら考えること。
・『熟慮(じゅくりょ)』……表面的にではなく、ある問題について深くしっかりと考えること。
・『思索(しさく)』……筋道を立ててあれこれ考えて思いを巡らすこと。論理的に対象を思考すること。
「考慮」の対義語
「考慮」の対義語には、以下の言葉があります。
・『無思慮(むしりょ)』……深く物事に思いを巡らせずに適当に行動すること。浅はかで何も考えていないさま。
・『無鉄砲(むてっぽう)』……よく考えずに無謀な行動をするさま。
「勘案」の意味
「勘案(かんあん)」とは、「複数の事情・条件を合わせて考える」を意味しています。
「勘案」という言葉は、「一つではなく二つ以上の事柄について考え合わせること」を示しているのです。
「勘案」はフォーマルな改まった場面やビジネスシーンで使われることが多い、硬い印象を与える表現になります。
「勘案」の使い方
「勘案」の言葉は、「複数の事例や条件を合わせてしっかり考えること」を意味して使うことができます。
「勘案」の使い方は、「勘案する・勘案される・勘案しない」などの表現で使う使い方になります。
例えば、「仕事を選ぶ時には、給与以外の仕事内容や職場環境なども勘案したほうが良いでしょう」などの例文で使用することができます。
「勘案」を使った例文
・『交渉相手から出された諸々の条件を勘案してから、最終的な結論を出すつもりです。』
・『現代社会の環境・技術の変化と人々のライフスタイルの変化を総合的に勘案します。』
・『ゴールデンウィークに遠方に出かける予定を立てるのであれば、道路事情やコロナ感染状況を勘案する必要があります。』
・『各国の国際情勢を勘案すれば、世界平和や統一市場の実現はまだまだ現実的なビジョンではありません。』
・『仕事量が増えて忙殺されている事情をご勘案してくだされば幸いに存じます。』
「勘案」の類語
「勘案」の類語には、以下の言葉があります。
・『考察(こうさつ)』……解明したい事柄について、よく考えた上で調べること。
・『思案(しあん)』……あれこれ思い・考えを巡らせること。
・『熟考(じゅくこう・じゅっこう)』……浅はかではなく、深くしっかり問題について考え抜くこと。
「勘案」の対義語
「勘案」の対義語には、以下の言葉があります。
・『浅慮(せんりょ)』……考えている内容が浅くて思考が足りないこと。
・『即断(そくだん)』……しっかりと勘案する時間を取ることなく、すぐに決断するさま。
まとめ
「考慮」と「勘案」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「考慮」と「勘案」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しくリサーチしたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。