この記事では、「円熟」と「熟練」の違いを分かりやすく説明していきます。
「円熟」とは?
「円熟」は「えんじゅく」と読み、知識や技術、人柄などにおいて洗練され豊かになっている様子を表す言葉です。
「円」の文字には、「かけたところのない」「完璧な」といった意味合いがあり、「完璧な」+「熟す」という成り立ちによって「円熟」の意味となるわけです。
例えば、「ベテラン俳優の円熟した演技」「シリーズを重ねるごとに作品が円熟していく人気小説」などのように使うことができます。
また、「熟」の文字には様々な意味がありますが、「先祖が祀られた土台の象形」+「食べ物をもつ人の象形」+部首「れっか」により成り立つことから、「食べ物を煮て人をもてなす」というイメージに繋がり、「熟す」という言葉となったともいわれています。
「熟練」とは?
「熟練」は「じゅくれん」と読み、鍛え磨かれて成熟している様子を表す言葉です。
「練」の文字は、「より糸」+「糸を入れ束ねた袋」から成り立ち、生糸などから余計なものを取り除きより良いものにしていくこと、あるいは、選び取っていく様子から「練る」という言葉になったとされています。
このことから、「熟練」「洗練」「練習」などの「練」の文字のニュアンスが理解できるわけです。
「熟す」+「選び抜いた」「十分に練られた」という意味合いの言葉が「熟練」といえます。
「円熟」と「熟練」の違い
「円熟」と「熟練」は、どちらも物事が十分に発達し豊かになっていることを指す言葉ですが、ニュアンスに違いがあります。
「円熟」は、完璧と言えるほど内容が豊かに熟している様子を表し、「熟練」は、十分に練られた結果として豊かになっていることを意味します。
いずれも、豊かさ、充実や発達といったニュアンスを含み、熟すまでの長い期間、経験、積み重ねといった言葉もイメージさせます。
まとめ
いかがでしたか。
「円熟」と「熟練」は、十分と言えるほどの内容や豊かさを備えていることを表す言葉として用いられています。
今日練習したから、明日円熟するなどということはないと、「円熟」と「熟練」の文字の成り立ちが教えています。