この記事では、「風貌」と「容姿」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「風貌」と「容姿」の違い
初めに二つの言葉の意味を確認します。
「風貌(ふうぼう)」とは、「風采」と「容貌」の意味を併せ持つ言葉で、身なりや顔のかたちなどの外から見たその人のようすを表します。
それが転じて、風景や物事の全体的なようすについて使われるようになっています。
「容姿(ようし)」とは、顔立ちと体つきのことを表す言葉で、すがたかたちのことです。
人のようす全体を表すことに使われますが、風景や物事などには使われず、直接的な表現になります。
「風貌」と「容姿」の使い方の違い
「風貌」の使い方を考えるうえで、「風采」と「容姿」の意味について確認します。
「風采」とは、外から見た、その人の容貌・服装・態度などのようすをあらわしており、「容貌」とは、かおかたちや、みめかたち、かおつきなどの顔に着目したようすを表す言葉で、「貌」には、顔だちや外観、ものの姿といった意味合いがあります。
このことから、「風貌」には、化粧や服装、態度などの外的要因で比較的変化しやすい(させやすい)状態を含んだ、かおや身体のようすについて使われる言葉であったことがわかります。
そして、その使われ方が拡大したことで、山や川などの自然現象や太古の建築物などのようすを切り取って季節ごとの「風貌」の変化という使われ方や、美術作品の全体的なようすに対しても使われるようになっています。
また、物事の全体的なようすを表す使い方として、例えば、社会の暇無げ(いとなげ)な風貌のような使われ方があります。
暇無げは、暇無しが変化した形で、暇がない、絶え間ない、忙しいという意味があり、社会の絶え間ない全体的なようすといった意味合いになります。
「容姿」の使い方を考えるうえで、「顔立ち」と「体つき」の意味について確認します。
「顔立ち」は、生まれつきの顔のようすのことで、目や鼻、口、耳などの位置や、高さ、大きさなどのようすを表す意味合いがあり、「体つき」は、体の骨格、筋肉、皮下脂肪などで構成される身体全体のようすのことで、骨組みや、肉付き、太り具合などのようすを表す意味合いがあります。
このことから、「容姿」には、「風貌」のように、化粧や服装などの装飾を含めた様子というより、顔立ちや体つきなどのような身体全体のナチュラルなようすについて使われる言葉になります。
ただし、化粧がされている状態で、鼻が高く見えたり、眼が大きく見えたりすることや、体系がわかり辛い服装などで痩せて見えたりすることを含めて「容姿」としても間違いというわけではありません。
「風貌」は、服装や装飾などを含めた身体や、風景、物事の全体的なようすに対して使われるのに対し、「容姿」は、顔立ちや体つきなどのような身体全体のナチュラルなようすに対して使われるという違いがあります。
「風貌」と「容姿」の英語表記の違い
「風貌」と「容姿」の英語表記は、どちらも“appearance”となりますが、「容姿」の本来のニュアンスを含んだ英語表記は、無いようです。
“appearance”の意味は、外観、外見、見掛け、「容姿」、「風貌」、風采などとなり、他の意味として、出現、登場、現れること、見てくれ、うわべだけのようす、体裁などがあります。
このことから、直訳では「容姿」と成る場合もあるのですが、本来のニュアンスでは、「風貌」と表す方が自然な表現と言えるでしょう。
「風貌」の顔に着目した表現としては、“looks”があります。
“looks”は、顔などの表情や外見の意味合いがあります。
「容姿」のパーツごとに着目した表現としては、“feature”、“strapping”、“fusky”、“big and strapping”などがあります。
がありますのでご紹介します。
“feature”は、顔の造作、容貌、顔立ち、目鼻立ち、特徴、特色、主要点などの意味合いがあります。
“strapping”は、がっしりとした、大きいなどの意味があります。
“fusky”は、がっしりとした、体格の良いなどの意味があります。
“big and strapping”は、大きくて体格が良いという意味があります。
「風貌」と「容姿」を使った例文
・『ラスボスのような風貌がある』
・『はかなげな風貌の少女がいる』
・『富士山には、四季折々の風貌がある。』
・『彼と久しぶりに会ったら原宿系の風貌になっていた』
・『顔の造作がよいので、容姿端麗な女性だ』
・『彼女は子供のような容姿の大人だ』
「風貌」の類語
「風貌」の類語には、風姿、格好、外観、風体、体裁があります。
風姿は、姿、かたち、みなりなどの意味があります。
格好は、外から見た事物の形、身なりなどの意味があります。
外観は、外側から見た感じや、表面に見える様子、見かけ、うわべ、外見となどの意味があります。
風体は、身分や職業をうかがわせるような外見上のようすや、みなりなどのいみがあります。
体裁は、外から見た感じ、外見、外観などの意味があります。
「容姿」の類語
「容姿」の類語には、相好、容貌 相好は、顔かたち、顔つき、表情などの意味があります。
容貌は、顔かたち、顔つき、ルックスなどの意味があります。
まとめ
「風貌」と「容姿」の違いについて説明しました。
「風貌」は、身なりや顔のかたちなどの外から見たその人のようすを表し、風景や物事の全体的なようすについても使われます。
「容姿」とは、顔立ちと体つきのことを表す言葉で、すがたかたちのことです。
「風貌」は、服装や装飾などを含めた身体や、風景、物事の全体的なようすに対して使われるのに対し、「容姿」は、顔立ちや体つきなどのような身体全体のナチュラルなようすに対して使われるという違いがあります。