この記事では、「摘出」と「切除」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
摘出と切除の違い
「摘出」には、3つの意味があります。
1つめは、つまみだすことです。
全体の中からあるものを抜き出すことを意味します。
2つめは、手術で体のある部位や体内の異物を取り出すことです。
3つめは、悪事などをあばきだすことです。
「切除」は、悪い部分を切って取り除くことを意味します。
この意味は「摘出」の2つめの意味とほぼ同じです。
しかし、「摘出」には切るという意味は含まれておらず、「切除」は切るという意味が含まれているので、この点は違います。
摘出と切除の使い方の違い
「摘出」は、あるものからつまみ取り出すことに使われます。
長い文章から要点を取り出すこと、体の中に入ってしまったガラスの破片を取り出すこと、こういたことが「摘出」です。
これらは、あるものから、あるものを取り出しています。
そして、このときに切ってはいません。
「切除」は、切って取り除くことに使われます。
体の中にがん細胞があったとき、これを取り除くには切る必要があり、このことを「切除」といいます。
「摘出」も体の中からあるものを取り出すときに使われる言葉で、手術の場合は切って取り除くときでも「切除」ではなく「摘出」が使われることがあります。
たとえば「大腸摘出」「胃を全摘出」などです。
摘出と切除の英語表記の違い
「摘出」は、全体の中からつまみだす意味では“pick out”と表記をし、手術して取り出す意味では“extraction”と表記をします。
「切除」は英語で“excision”と表記をします。
摘出の意味
「摘出」には、3つの意味があります。
1つめは、全体の中ならあるものをつまみ出すこと、抜き出すことです。
長々とした説明は、何が重要なのかわかりにくいことが珍しくありません。
そのようなとき、重要な箇所を「摘出」してくれると、本当に大切なことだけがわかり、理解しやすくなります。
また、たくさんの米粒の中に小石が入っていて、それを取り除くことも「摘出」といえます。
米粒や小石などではなくても、全体からつまみ出すことが「摘出」です。
2つめは、手術で体内の異物を取り出すことです。
自分の体の一部であっても、がん細胞などの悪いもの、周囲の体組織になじまないものは異物とされます。
自分の体以外の物質も異物です。
3つめは、悪事などをあばきだすことです。
「摘」という漢字には、つまむ、つみとる、悪事をあばくという意味があり、「出」という漢字には、だす、外へだすという意味があります。
摘出の使い方
あるものをつまみ出すことに使われる言葉です。
文章から重要な箇所だけを取り出す、手術で悪い大腸の部分を取り出す、こういったことが「摘出」です。
物質的なものにもそうでないものにも使うことができます。
摘出を使った例文
・『胃の摘出手術を行った』
・『要点を摘出しなさい』
・『何度も摘出のための手術を受けている』
・『大腸を摘出した経験を持っている』
・『体の中から小さなガラス片を摘出する試みをする』
摘出の類語
手術で取り出すことという意味では「切除」が類語です。
摘出の対義語
ぴったりな対義語はありませんが、手術で取り除かないことは放置するというので、「放置」が対義語になります。
切除の意味
「切除」とは、切って取り除くことです。
特に悪い部分を切って取り除くことを意味します。
「切」という漢字には、きるという意味があり、「除」という漢字には、のぞく、とりさるという意味があります。
漢字の意味からも、切って取り除くことがわかります。
「切除」には「切」という漢字が使われていることから、切らずに取り除くことは意味していません。
切除の使い方
悪いものを切って取り除くことに使用します。
特に手術のことで使われることが多いです。
がん細胞は、よくないものとされています。
がんの治療方法の一つに、がんの部位を切って取り除く方法があり、このことを「切除」といいます。
皮膚にできるできものには、悪いものと放置していても問題ないものがあります。
どちらかわからないので、この場合は「切除」ということもあるし、「除去」という場合もあります。
「除去」とは、邪魔なものを取りのけることです。
切除を使った例文
・『大腸のポリープを切除する』
・『外科医によって切除が行われる』
・『切除のための入院をする』
・『胃の切除後の生活が心配だ』
・『できれば切除したくない』
切除の類語
類語は「除去」です。
「切除」が取り除くものは悪いものの意味が含まれていますが、「除去」は邪魔なものです。
切除の対義語
切り離さない、つまりくっつけるという意味では「癒着」が対義語になります。
まとめ
どちらも手術で使われる言葉で、この場合は大きな違いはありません。
しかし、「切除」は切るという意味が含まれており、「摘出」は切らないことも指すので、「摘出」の方が使用の幅が広いです。