この記事では、「悲劇」と「悲惨」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「悲劇」と「悲惨」の違い
ドラマや小説の主人公が様々な困難に追い込まれることや実際の人生において、痛ましい出来事に巻き込まれることを意味する「悲劇」。
そして、「悲惨」は、見るに堪えない場面、聞くに堪えない出来事、また、その様子を意味します。
このことから、同じような困難や凄まじい状況などにおいて、その状況を意味するのが「悲劇」で、目に見て確実に確かめることができるというものではありません。
その一方、「悲惨」の場合は、そのような状態を示す言葉となり、多くの場合、実際に目に見て「悲惨」な状況を確認することができます。
このような違いがある「悲劇」と「悲惨」について、以下で、より詳しく説明していきます。
「悲劇」と「悲惨」の使い方の違い
「悲劇」の場合、基本的にどのような「悲劇」なのかを意味するような使い方が多くなります。
例えば、「仕事中の悲劇」などです。
そのほか、「悲劇」を前に使う場合は、「悲劇的」といったように「的」を付け、その後に言葉が来るといったような使い方が主な使い方となります。
その一方、「悲惨」の場合は、「悲惨な○○」といったように、「悲惨」の状況を示す言葉が「悲惨」の後に付く形での使い方が多くなります。
例えば、「悲惨な状況」などです。
このような使い方が「悲劇」と「悲惨」にはあります。
「悲劇」と「悲惨」の英語表記の違い
「悲劇」の英語表記は、tragedy; misfortuneです。
「悲劇的事件」は、a tragic affair/a tragedy 「悲劇の結果」は、result in tragedy 「悲劇の英雄」は、tragic heroなどとなります。
「悲惨」の英語表記は、atrociously、outrageouslyです。
「悲惨な出来事」は、a tragic [sad, terrible] accident/a tragedy/a disaster 「悲惨な最後を遂げる」は、die tragically/【形式ばった表現】 meet (with) a tragic death [end] 「悲惨な死」は、a tragic deathなどとなります。
「悲劇」の意味
「悲劇」とは、小説やドラマなどの主人公が運命によって困難な状況に陥ること。
社会の変化などによって困難な状況に陥ることを意味するだけではなく、実際の人生においても、様々な困難に出くわすこと、痛ましい出来事などを意味する言葉となります。
小説やドラマなので主人公の結末が不幸な結末だった場合を「悲劇」と言い、「悲しい劇」と書く意味がここからも理解することができます。
また、「悲劇」の場合、決して、小説やドラマなどの架空の出来事だけを意味するものではなく、実際の生活における不幸な出来事、結末においても「悲劇」という言葉が用いられます。
「悲劇」の使い方
「悲劇」は、単体での使い方だけではなく、「○○の悲劇」、「悲劇的な○○」といった使い方がたくさんあります。
「○○の悲劇」の場合、「彼女の悲劇」、「主人公の悲劇」、「仕事中の悲劇」など。
「悲劇的な○○」の場合、「悲劇的な出来事」、「悲劇的な結末」、「悲劇的な事故」、「悲劇的な状況」などがあります。
そのほか、「悲劇のヒロイン」、「悲劇のヒーロー」など、「悲劇」な人を指す使い方もあります。
また、文中で使用する場合は、「悲劇に見舞われる」、「悲劇だ」、「悲劇です」などといった形で用いられます。
「悲劇」を使った例文
・『私は、どうしても、悲劇のヒロインを好きになってしまいます。』
・『ドラマの結末が悲劇的な結末だと知り、ますます、ドラマを見るのが楽しみになりました。』
・『悲劇というものは、訪れるものだと初めて実感しました。』
・『友達の事故が悲劇的な事故だったと聞き、胸が苦しくなりました。』
「悲劇」の類語
良くない状況を意味する「悲劇」。
そんな、「悲劇」の類語には、同じように良くない状況を意味する、「災難」、「不幸」、「危難」、「受難」、「災い」、「天災」、「惨劇」などがあります。
「悲劇」の対義語
「悲劇」の対義語は、「喜劇」です。
「喜劇」には、思わず笑ってしまうような滑稽な出来事といった意味があります。
「悲惨」の意味
「悲惨」とは、見るに堪えがたいこと、聞くに堪えがたいことやその様子を意味する言葉となります。
その様子は、誰から見ても気の毒な様子で、見ていられないほどのものとなります。
「悲しくて惨め(みじめ)」と書いて「悲惨」。
「悲惨」の「惨」には、「みじめ」といった意味だけではなく、「いたむ、いたましい」といった意味があり、そこから、「悲惨」がどのようなことを意味しているのかということを理解することができます。
「悲惨」の使い方
「悲惨」の使い方の場合「悲惨な○○」といった使い方が多くなります。
例えば、「悲惨な光景」、「悲惨な事故」、「悲惨な死」、「悲惨な戦争」、「悲惨なニュース」、「悲惨な顔」、「悲惨な敗北」、「悲惨な結末」などとなります。
「悲惨」を使った例文
・『悲惨なニュースには、目を覆いたくなる映像が流れることもあります。』
・『悲惨な戦争は、決して起こしてはいけないと私は考えます。』
・『何があったの?そんなに、悲惨な顔をして。』
・『大地震を体験した人からの話を聞くだけで、悲惨な光景が目に浮かびます。』
「悲惨」の類語
見るに堪えない、聞くに堪えない、最悪の状況を意味する「悲惨」の類語には、「痛ましい」、「気の毒」、「無惨」、「もの凄まじい」、「惨たらしい」、「目も当てられない」、「陰惨」、「凄惨」などがあります。
「悲惨」の対義語
「悲惨」の対義語には、明確なものはありませんが、似たような意味の対義語として、幸福を意味する「至福」。
幸せなことを意味する「幸い」などがあります。
まとめ
以上が、「悲劇」と「悲惨」の違いです。
どちらも、良いことを意味する言葉ではなく、悪いことを意味する言葉といった共通点はありますが、その中身は少し異なるため、使い分けが必要です。