近い未来や過去のことは、普段何といっていますか。
この記事では、「近々」と「直近」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
近々と直近の違い
「近々」には、2つの意味があります。
1つめは、2つの地点の時間的に離れていないさまです。
もう一つは、2つの場所の隔たりが少ないさまです。
「直近」は、現在を基準にして時間的隔たりが少ないさまを意味します。
「近々」の1つめの意味と「直近」はほぼ同じ意味です。
しかし、「近々」と「直近」が全く同じ意味なのではありません。
時間という点では同じですが、未来を向いているのか、過去を向いているのかが異なります。
「近々」は「近々伺います」のように使い、未来の方向を向いています。
一方、「直近」は「直近1週間」のように過去のことを指して使うことが多いですが、未来を指す場合もあります。
また、「近々」は距離の意味もありますが、「直近」は空間は意味しません。
近々と直近の使い方の違い
「近々」は、時間的に隔たりが少ないこと、距離的に近いことに使う言葉です。
時間の意味で使うときには、未来のことについて使用をします。
「直近」は、時間のことを指しています「直近1か月の事故発生件数」のように、時間は過去のことに使用することが一般的です。
未来のことにも使用できます。
近々と直近の英語表記の違い
「近々」は時間的に隔たりが少ないという意味では、英語で“near”と表記をします。
距離的に近いという意味では“near”や“close”です。
「直近」は英語で“most recent”や“latest”と表記をします。
“recent”には近頃のと訳され、“latest”は最後の、最近のと訳されます。
近々の意味
「近々」は2つの意味を持っています。
1つめは、時間的に隔たりが少ないことです。
「近近」とも書きます。
「々」は踊り字になります。
もう一つの意味は、距離的に近いことです。
時間的に隔たりが少ないという意味では、どれくらいの時間的隔たりなのか明確な意味は含まれていませんが、本当にすぐ近くのことを指しています。
そして、その近い時間は未来のことです。
前にあったことは指していません。
近々の使い方
2つの地点の時間的に離れていない意味では、未来のことに使用をします。
「近々引越しをします」のように使用し、引越しをするのは未来のことで、「近々引っ越しました」と過去形にして使用することはありません。
また、本当に近いことを指していて、「近々引っ越します」の場合は数日から数週間ほどを想定しています。
2か月も3か月も先のことを指すときには、あまり使用しない言葉です。
距離の場合は、今自分がいる場所を基準にして、そこから近い場合に使用します。
近々を使った例文
・『近々Aさん宅を訪問するつもりだ』
・『近々おじさんが遊びにやってくる』
・『近々東京に引越しをします』
・『近々大学の寮に入ります』
近々の類語
「すぐ」が類語です。
「すぐ」には、時間をおかないさまという意味があります。
近々の対義語
「遠い」です。
「遠い」は時間のことも、距離のことも離れていることを意味します。
直近の意味
「直近」とは、現時点からもっとも近いことです。
「時点」は、ある時期のことを意味します。
ある時点を基準にして、そこから近いことが「直近」です。
「直近1か月」といった場合は、現在が2020年8月1日だとすると、そこから1か月前の時点、つまり2020年7月1日までのことを指します。
直近の使い方
ある時期から近いことを指す場合に使用をします。
未来のことではなく、過去のことに使用することが一般的です。
英語でも“latest”と過去のことを指しています。
「直近1か月」といった場合は、1か月先までの未来のことを指しているのではなく、1か月前までのこと、過去のことを指しています。
しかし、近い未来のことに使われることもあります。
また、時間の隔たりが大きいことには使用せず、「直近10年」などとはあまりいいません。
この場合は「過去10年」とします。
直近を使った例文
・『直近の試合成績から考慮する』
・『直近1か月の来園者数』
・『直近の気象情報を参考にする』
・『直近に開いた履歴が表示される』
・『直近5試合で3勝している』
直近の類語
「近い」が類語です。
「近い」には、時間的隔たりが少ない意味があります。
直近の対義語
対義語は「間遠」になります。
「間遠」は、間隔が時間的・空間的に離れていることを意味します。
まとめ
近いという意味では同じですが、未来のことに使うのか、過去のことに使うのかという点に違いがある言葉です。
また、「近々」は2つの場所の隔たりの意味を持っていますが、「直近」はその意味がない点も違います。
意味は似ていても厳密には違った意味と使い方を持っている言葉です。