この記事では、「なすび」と「なす」の意味や違いを分かりやすく説明していきます。
「なすび」とは?
野菜の「なす」を「なすび」と呼びます。
ナス科のナス属に分類される淡色野菜であり、一年中気温が高いインドで栽培されている野菜でした。
奈良時代には日本国内で食べられるようになったこの「なすび」は、元々「奈須比」と漢字で書かれていた野菜です。
当時の味は酸味が強く、身の部分が食べにくさを感じるほど酸っぱい実であったところから「なかすみ」と呼ばれるようになり、さらに進化して「なすび」になります。
希少価値が高い食材であり、権力がある貴族や位の高い天皇が口にできる野菜でした。
「なす」とは?
今や世界中で愛されている「なす」はインドが原産の野菜です。
当時、日本では紫瓜と呼び、食べられるようになったのは奈良時代でした。
当時は藍国茄子と呼ばれていて、関西中心に食されている食材だったのです。
それを江戸時代になると徳川家康が関東でも普及させようとしますが、知名度が低い「なすび」を広めようと商人が物事を成す、食べれば商売が繁盛する食材として売り出したところ人気を集めました。
その後、東京を中心に成すから「なす」と呼ぶようになったのです。
現在では炒め物や天麩羅、お浸し、グラタンといった中華から洋食にまで使う野菜になりました。
炒めると甘みが増し、柔らかくなるところから高齢者も食べやすいのが魅力です。
「なすび」と「なす」の違い
「なすび」と「なす」の違いを、分かりやすく解説します。
2つともまったく同じ形、色、味の野菜を指す言葉ですが、関東よりも関西方面に住む人の方が使う呼び名を「なすび」と呼びます。
徳川家康が関西方面で食べていたこの野菜を関東でも広めるため商人の力を借りたところ、商売を盛り上げるのに成す食材として「なす」といって売り出せば庶民の間で受け入れられたのです。
徳川将軍は鷹と富士山を愛し、「一富士二鷹三茄子」【ひとふじにたかさんなすび】と表現し、一年の初めに夢に見れば物事が発展するという縁起の良いものとして「なす」を挙げています。
まとめ
同じ野菜を指す言葉を2つ取り上げましたが、呼び方の誕生秘話を深堀してみるとまた、食材の呼び名について奥深さを発見できるでしょう。