「覚書」と「念書」はどちらも重要な意味を持つ書類ですが、それぞれどのような役割を持つ書類で何が違うのでしょうか。
今回は、「覚書」と「念書」の違いを解説します。
「覚書」とは?
「覚書」とは、「当事者間での合意内容や約束事を明確にする目的でまとめた書類」です。
「覚書」の使い方
ある物事に関わる当事者の間でどのような事柄について合意したのか、どんな約束を結んだのかなど意識のすれ違いや認識の齟齬がないよう文書化し明確にしておくために作成する書類を指します。
契約書とは違いますが当事者同士の合意に基づいて作成されているので意思を確認する書類として一定の法的効力が認められます。
「念書」とは?
「念書」とは、「特定の意思を明確にするため作成する書類」です。
「念書」の使い方
ある事実や約束事など記載されている内容が事実であることに対して責任を持ち、誠意を持って果たすことを約束する書類を指します。
義務や責任を負う主体が一方的に作成するもので記載内容については真摯に取り組まなくてはなりません。
「覚書」と「念書」の違い
「覚書」と「念書」の違いは「効力の対象」です。
「覚書」は当事者間の合意を持って作成される書類で記載されている内容の効力は書類作成に合意した当事者全てに及びます。
「念書」は主体が一方的に義務や責任を記載して作成する書類なので効力の対象は作成者のみです。
商品取引において「買い手は1000円で購入時し売り手は1000円で販売する」という当事者双方について拘束力を持つ書類は「覚書」で「買い付ける時は必ず1000円以上で購入する」という当事者の一方の意思だけを拘束する書類が「念書」に当たります。
「覚書」の例文
・『覚書を作成する』
・『覚書の記載内容を最終確認する』
「念書」の例文
・『事実であると念書を書く』
・『念書を見れば本人の意思であることは明らかだ』
まとめ
「覚書」と「念書」は効力が及ぶ対象の違いで区別されます。
重要な約束や契約に関わるので違いを正しく理解しておきましょう。