両方とも想像上の鳥だが圧倒的な知名度の違いとは?
この記事では、「鸞」と「鳳凰」の違いを分かりやすく説明していきます。
「鸞」とは?
「鸞」は“らん”の呼称で呼ばれる中国の伝説の鳥。
日本でも既に700年代の文献のなかにも見ることができます。
天皇の乗り物がかつては「鸞輿・らんよ」と言われていた事や、1100年代の「親鸞聖人」の一文字として使われている事からも古くから神聖な鳥だと認識されていたのは間違いないでしょう。
ただし時代が降るごとに「鳳凰」に淘汰されていったのは間違いありません。
文献によっては「鳳凰」の仲間で青い鳥を指す事もあれば、1712年に「寺島良安」が編纂した『和漢三才図会』では赤い鳥で鳳凰に次ぐ存在として扱われています。
「鳳凰」とは?
日本では圧倒的な知名度、人気を誇るのが「鳳凰」だと言っていいでしょう。
古くは「宇治平等院鳳凰堂」や新しい物では一万円札裏に姿絵が描かれています。
もっとも日本における「鳳凰」は『手塚治虫』氏の「火の鳥」や『巨人の星』『聖闘士星矢』の劇中に登場する事「不死鳥・フェニックス」の姿の方がイメージが強くなっており、中国北京の紫禁城における「鳳凰」像に近いと言えます。
また別名としては日本の空母名になった「大鳳」や「大鵬」も同義語です。
「鸞」と「鳳凰」の違い
「鸞」と「鳳凰」の違いを、分かりやすく解説します。
基本的には鳳凰の1種類が鸞だという解釈で間違いありません。
また「鳳凰」が赤い神鳥を指すのに対して、「鸞」は青い神鳥であるとも言われています。
「鳳凰」は同義語が多いのも特徴的だと言えるでしょう。
例えば「不死鳥・フェニックス」はエジプト神話由来ですが、70〜80年代の人気漫画で同じ存在として扱われた事が大きかったと言えます。
また太平洋戦争中の日本の空母には空を飛ぶ瑞祥動物が名前の由来になっており、「大鳳」「瑞鳳」「龍鳳」等は全て「鳳凰」を意味した言葉です。
また中世の彫刻による「鸞」は鶏冠がありません。
首や羽は「鳳凰」で描かれるギザギザ羽も存在しないと言っていいでしょう。
彩色は翼は青いものが多いですが胴は茶色など実在の孔雀に似た配色がされています。
まとめ
「鸞」は「鳳凰」の同じ分類に入ります。
一般的には赤い神鳥を「鳳凰」としており「鸞」は青い神鳥になります。
ただし両者ともに想像上の生物であり、解釈は一致しません。
前述した江戸時代中期に成立した『和漢三才図』では鳳凰に次ぐ地位の赤い鳥とも書かれており、「鸞」に関しては定義は難しいとも言えます。
和彫刻で見る「鸞」は孔雀に近い彩色がされ、尾羽根は帯状です。
また見分ける際に桐と一緒に書かれている場合は「鳳凰」だと言っていいでしょう。
想像上の生物だけに姿で区別するのは難しいですが、鶏冠・尾羽根・首回りの模様などで判断するしかありません。