この記事では、「蒔絵」と「螺鈿」の違いを分かりやすく説明していきます。
「蒔絵」とは?
蒔絵は、まきえと読むべき言葉です。
漢字で記されたこの言葉を目にすれば一目瞭然な事でしょうが、まくや散らし落とす等の意味を持っている蒔の漢字に、色どり描いたものといった意味を有する絵の漢字を付け加える事で完成した言葉となっています。
以上の事から蒔絵は、器物の表面に漆で文様を描いた上で、金属粉とか色粉を蒔きつけて付着させる漆工芸技法を示すのです。
「螺鈿」とは?
螺鈿は、らでんと読むのが正解な言葉となっています。
漢字で書かれたこの言葉を見れば理解出来る事ですが、海産の巻き貝を意味する螺の漢字に、細工を加えるといった意味がある鈿の漢字を組み合わせる事で成立した言葉です。
故に螺鈿は、オウムガイやヤコウガイ等の貝殻を磨いて薄片にし、それを漆器や木地の表面にはめ込んだり、貼ったりする工芸技法を表します。
日本には奈良時代に、中国から伝わって来た技法であるとされているのです。
「蒔絵」と「螺鈿」の違い
蒔絵と螺鈿の漢字表記を見比べてみると、使用されている漢字も読み方も全然違う言葉同士であると気付けます。
所がどちらも日本で古くから使われている工芸技法を表現する言葉であるため、使い分けを意識すると混同してしまう恐れはないとは言えません。
とはいえこの2つの方法には明確な違いがあり、蒔絵は漆で文様を描いた上で、金属粉や色粉を蒔きつけ付着させる日本独自に生まれた漆工芸技法を示します。
もう一方の螺鈿は、ヤコウガイ等の貝殻を薄片にした上で、木地や漆器の表面にはめ込んだり、貼り付けたりする中国から伝わった技法を表すのです。
まとめ
2つの言葉には共通する漢字はなく読み方も似ていませんが、共に工芸技法を指し示す言葉となっています。
ただし蒔絵は、器物の表面に漆で文様を描いた上で、色粉や金属粉を蒔きつけて付着させるという日本独特の工芸技法に対して用いる言葉です。
対する螺鈿は、薄片にした貝殻を、漆器や木地の表面に貼り付けたり、はめ込んだりする中国から伝わった工芸技法に対して使われる言葉となっています。