この記事では、「豊富」と「抱負」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「豊富」と「抱負」の違い
「豊富」とは、あまるほどにたくさんあること、不足することがないことです。
「抱負」とは、心の中に持っている、はっきりと決めたこと、望むことです。
どちらの言葉も「ほうふ」と読みますが、意味は異なります。
「豊富」は、知識や物質など多い少ないで表すことができるものを指す言葉です。
日本は米を育てている国で、余剰米があるといわれるほど多くの米が存在しています。
不足することはない状態です。
このような多くあるさまを指しています。
「抱負」は、心に抱いているものを指す言葉です。
心に抱くものといっても、悲しみ・喜びなどの感情、何かを見たり聞いたりして考えることなどさまざまありますが、「抱負」が意味する心に抱くものとは、何かをしようというはっきりと決めた気持ちです。
新しい年を向かえると気持ちも新しくなり、何かをしようという気持ちがわいてきます。
そこで、新年の「抱負」というものが立てられたります。
この言葉は新年に立てるものだけを指しているのではありません。
いつであっても、心に抱かれた「こうしよう」という気持ちのことをいいます。
「豊富」と「抱負」の使い方の違い
前者の言葉は、ゆたかにたくさんあることについて使用します。
数量の多い少ないで表されるものに使うことが一般的です。
後者の言葉は、心に抱いたものについて使用をします。
「これをやるぞ」「こうしたい」といった、心に抱かれるものをいいます。
「豊富」と「抱負」の英語表記の違い
「豊富」は英語で“rich”や“abundant”と表現をします。
「抱負」は英語で“one’s hopes”や“plan”と表現をします。
「豊富」の意味
「豊富」とは、不足することなく物や事柄があること、十分に物や事柄があることです。
鮮魚店のことで考えてみます。
鮮魚店には、イワシ、サバ、アジ、サケなどさまざまな種類の魚が並んでいます。
スーパーの鮮魚コーナーで売られている魚介類の数はあまり多くなく、一般的な鮮魚店の場合は多いところでも30種類ほどしか扱っていないようです。
たくさんの種類を仕入れるにはコストがかかり、またたくさんの種類を仕入れても売れずにあまってしまうことがあるため、難しいようです。
しかし、種類を多くそろえている鮮魚店もあります。
多くそろえているところでは、60種類ほどを扱っているようです。
30種類扱っている店と60種類扱っている店を比べると、60種類扱っている店の方が魚介類の種類が多いです。
後者の店は「取扱数が豊富」ということができます。
お客さんにとっては十分な種類数といえるでしょう。
タンパク質は人間の体を構成する成分です。
不足すると筋肉減少、免疫力の低下、肌荒れ、集中力の低下などを招きます。
健康な体を維持するためには、タンパク質を十分に摂取することが大切なのです。
タンパク質を多く含むとされている食品には、肉、魚、大豆、卵などがあります。
これらはアミノ酸バランスもよく、タンパク質を十分に含む食品といえます。
しっかりと食べていれば、タンパク質の不足の心配はないでしょう。
このような十分にあるさま、不足のないさまを「豊富」といいます。
「豊富」の使い方
ありあまるほど存在するという意味で使用をします。
知識、物、金銭などについていう言葉です。
物や金銭は物質として形がありますが、知識は目に見える形としては存在していません。
この言葉は、目に見える形としてあるものにも、目に見えないものにも使用可能です。
目に見えないものについては、知識や経験について使用することが多いです。
悪い意味でたくさんあることではなく、よい意味でたくさんあることをいいます。
たとえば食品でいうと、タンパク質を多く含むものはよいとされていますが、脂質を多く含むものは悪いとされています。
脂質はカロリーが高いため、摂りすぎは肥満の原因になるためです。
「豊富」を使った例文
・『鉄分が豊富な食べもの』
・『豊富な経験を活かす』
・『バリエーションが豊富』
・『10色の豊富なカラー展開』
「豊富」の類語
「豊か」が類語です。
「豊富」の対義語
「不足」が対義語です。
「抱負」の意味
「抱負」とは、心の中に持つ、自分ではっきりと決めた事柄、こうなりたいという思いです。
新年になると、これを作る人が少なくありません。
新しい年になると新しい気持ちになり、何かを成し遂げようという気持ちになるのでしょう。
たとえば禁煙しようとか、10kgやせようとか、1か月で10冊以上本を読もうとか、人それぞれ内容は違いますが何かを決意します。
この決意のことを指している言葉です。
最終的なゴールのことを指しており、ゴールに到達するまでの過程は意味に含まれていません。
そのため、決めたことを達成するためにどうすればいいか細かなことを決めていなくても「抱負」といいます。
たとえば、10kgやせると決意したとします。
やせるためには、食事内容を見直したり、運動をしたりすることが大切です。
では、食事は1日にどれくらいの量に使用か、運動はどんな種類を何分くらいやろう、そういったことを細かく決めておくと、ダイエットを成功させやすくなることでしょう。
しかし、「抱負」は決意のことであって、1日の食事内容を細かく決めたり、運動の種類を決めたりなど、ゴールまでの具体的な方法を決めている必要はありません。
「抱負」の使い方
心の中にある、はっきりと決めたこと、こうなりたいという思いを指して使用します。
心の外に出しているか、出していないかは問いません。
人それぞれ抱く事柄は違い、どのような内容であっても心に抱いている決意についてなら使用可能です。
「抱負」を使った例文
・『試合後のインタビューで抱負を語った』
・『面白い抱負ですね』
・『○○さんの抱負は何ですか』
・『抱負を教えてください』
「抱負」の類語
「志」が類語です。
「抱負」の対義語
ありません。
まとめ
2つの言葉は読みは同じですが、意味はまったく違います。
一方はゆたかなこと、もう一方は心に抱く事柄です。