「処分」と「廃棄」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「処分」と「廃棄」の違い生活・教育

この記事では、「処分」「廃棄」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「処分」と「廃棄」の違い

処分(しょぶん)とは、一般的に不要なものを捨てることや、売ること、誰かに譲渡することなどをして、始末をつけることです。

そのほかの意味として、死後の自分の財産をどのように取り扱うか生前に決めておくことという意味、規則や規約などを破った人に対してしかるべき処罰を与えるという意味、法令に基づいて権利と義務を設定し、法的な効力を発生されるという意味(行政処分、強制処分、保護処分など)があります。

廃棄(はいき)とは、一般的に不要なものを捨てるさることや、物事に対して扱うことをやめて用いないようにすることです。

そのほかの意味として、条約の効力を他方が一方的な意志によって失わせることという意味、今までの法律の効力を失わせることや、新しい法律に置き換えるために無くすことという意味があります。

処分は、単純に捨てることというよりも、物事に何らかの処置方法を決定することなのに対し、廃棄は、対象の物事を扱うこと自体をやめて以後はその物事を取り扱わないという意味の違いがあります。


「処分」と「廃棄」の使い方の違い

「処分」は、一般的な意味の「物を処分する」で考えると、処分する立場の人にとっては手元から「その物」が無くなるという点については、捨てるや「廃棄」と同じですが、「処分される物」の状況が異なります。

例えば、Aさんが物Xを処分したといった使われ方の場合には、処分方法を予め明示することや問いかけられなければ、その言葉を受け取った人は、Aさんの手元に物Xがもう無いということがわかることになりますが、物Xにとっては譲渡されたのか、捨てられたのか、売られたのかなどの何らかの状況があります。

この話を「廃棄」に置き換えると、Aさんが物Xを廃棄したといった使われ方の場合には、物Xが不要なものとして捨て去られたということが確定します。

また、規則や規約、法律、倫理などに対して何等かの問題を起こした人に対して使われる場合には、何らかの処罰を与えるということを表しており、処分の内容については明示されておらず、合わせて併記される場合や後日決定される場合があります。

ものに対して使われる場合には、ネガティブやポジティブなことの両方に使われますが、人に対して使われる場合には、ネガティブな意味合いをともなって使われることに注意が必要です。

通常は、人に対して「廃棄」が使われることはありませんが、ドラマや漫画などの作品では、「廃棄」が使われた人を物のように見ている状況で殺すといった意味合いで使われることになるわけです。

少しややこしいのが、ドラマや漫画などの作品では、人に対して「処分」が使われた場合に、処分方法について殺すことが暗示もしくは明示される可能性があることには注意が必要です。

土地に対して「処分」が使われた場合には、その人の所有権が無くなったことが示されて、捨てられないため、譲渡または売却されたと理解することが妥当となります。

「廃棄」は、ものに対して使った場合には、不要なものを捨てるさることとして理解されることとなり、条約や規約、法令などの何らかの規則に対して使われた場合には、今後はその何らかの規則を用いないで無効にするという意味合いで使われることになります。

「処分」は、物や人に対して、何らかの処理を行うことに使われるのに対し、「廃棄」は、物を不要として捨て去ることや、何らかの規則を今後は用いないで無効にすることに使われるという違いがあります。


「処分」と「廃棄」の英語表記の違い

「処分」の英語表記は、“dispose of”“throw away”“disposition”“punishment”などが考えられます。

全ての意味合いを直接対応する語が無いため、状況によって使い分ける必要があります。

“dispose of”は、動詞として、(不要物などを)捨てる、廃棄する、処分するという意味があり、資産を処分(譲渡や売却、整理)することや、問題を処理する、決着をつける、敵をやっつけるといった意味もあります。

“throw away”は、投げ捨てる、無駄に費やす、浪費するなどの意味があり、投げ捨てて処分した時に使えます。

“disposition”は、名詞として、気質、素質、傾向という意味と、財産や金融の譲渡、処分、整理、廃棄、配置などの意味があります。

“punishment”は、罰すること、処罰、虐待などの意味があり、人に対しての処分という場合に使えます。

「廃棄」の英語表記は、“disposal”“abolishment”“banishment”などが考えられます。

全ての意味合いを直接対応する語が無いため、状況によって使い分ける必要があります。

“disposal”は、不要物の処分、廃棄、処理などの意味があり、所有物の売却にも使えます。

“abolishment”は、廃止という意味があり、法律や制度などを廃棄する場合につかえます。

“banishment”は、追放、流刑といった意味と、捨て去ること、放棄、廃棄といった意味があります。

「処分」と「廃棄」を使った例文

・『断捨離で不要なものを処分します』
・『食中毒を発生させると行政処分が下ります』
・『生きているうちに遺産の処分方法を考えておくことが大切です』
・『特価価格で在庫処分販売しております』
・『産業廃棄物を処理する方法が大切です』
・『医療廃棄物の処理には、感染対策が必要です』
・『冷蔵庫の電源が抜けたため、ワクチンが廃棄されました』
・『食料が腐ったので廃棄処分することになってしまいました』

「処分」の類語

類語には、処置、処理、始末があります。

処置は、対策を立てて適切な取り扱いをすることです。

処理は、物事を取りさばいて最終的に始末をつけることです。

始末は、物事の始まりと終わりのことで、最終的な状況のことです。

「廃棄」の類語

類語には、破棄があります。

破棄は、破いて捨てることです。

契約や取り決めを一方的に取り消すことという意味と裁判の判決を取り消すことという意味もあります。

「廃棄」の対義語

対義語には、保存、締結があります。

保存は、そのままの状態で保つことです。

締結は、かたくしめて結ぶことで、条約や契約を取り結ぶことです。

まとめ

「処分」「廃棄」について説明しました。

処分は、単純に捨てることというよりも、物事に何らかの処置方法を決定することなのに対し、廃棄は、対象の物事を扱うこと自体をやめて以後はその物事を取り扱わないという意味の違いがあります。

「処分」は、物や人に対して、何らかの処理を行うことに使われるのに対し、「廃棄」は、物を不要として捨て去ることや、何らかの規則を今後は用いないで無効にすることに使われるという違いがあります。