この記事では、「徒労感」と「疲労感」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「徒労感」と「疲労感」の違い
「徒労感」とは、苦労をして一生懸命やったのに、やっただけのことがないと感じることです。
「疲労感」とは、筋肉や精神を使い過ぎて、本来の機能を果たさなくなって、くたびれたと感じることです。
どちらの言葉にも感じるという意味が含まれていますが、何を感じるのかが違います。
「徒労感」が感じるものは、無駄であったです。
残業をしたり、土日出勤をしたり、上司の言うことは何でも聞いたりして、まじめに働いている人もいることでしょう。
まじめに働くのは、一生懸命にやっていれば待遇されるだろうという思いがあってのことだと思います。
しかし、一生懸命にやっていても、期待していた結果にならないことはあります。
そのようなとき、無駄であったと感じることでしょう。
このような感じ方のことを意味しています。
「疲労感」が感じるものは疲れです。
掃除、洗濯、料理、仕事など、いろいろなことを1日の中でこなしていると、体がくたびれてしまいます。
人間の体からエネルギーが無尽蔵に出てくるわけではありません。
1日が終わると「疲れたー」と感じることでしょう。
このような感じ方のことを意味しています。
肉体的なことだけでなく、精神的なこともいいます。
「徒労感」と「疲労感」の使い方の違い
徒労を感じることに「徒労感」を使用します。
ある事に力を注いだのに、無駄になってしまったと感じることです。
疲労を感じることに「疲労感」を使用します。
「もう動けない」といった状態を感じることです。
「徒労感」と「疲労感」の英語表記の違い
「徒労感」は英語で“sense of futility”と表現をします。
「疲労感」は英語で“sense of fatigue”と表現をします。
“sense”には、感覚、感じという意味があります。
「徒労感」の意味
「徒労感」とは、ある事柄に力を注いだのに、期待していたような結果にならず、無駄であったと感じることです。
「徒」は、むだ、役に立たない、「労」は、つかれる、骨折りという意味があります。
「感」は心の動きのことです。
野球の試合のことで考えてみます。
9回の裏、相手チームに得点を与えなければ、勝利を収めることができます。
ピッチャーは何としてでも点をとられないように、あの手この手を尽くしました。
しかし、あと1つアウトをとれば勝利という状態のとき、バッターがホームランを打つことに。
このとき、満塁だったため、逆転勝利されてしまいました。
あの手この手を尽くして努力をしたのにもかかわらず、試合には負けてしまい、ピッチャーには無駄だったという感じが残りました。
今までの努力は何だったのだろうという感じです。
この場合、野球の試合に勝つという事柄に力を注いでいます。
それにもかかわらず、期待していたような結果にはなりませんでした。
そして、無駄であったという気持ちが残っています。
このような感じることを意味している言葉です。
「徒労感」の使い方
やったけれど何にもならなかったと感じることについて使用をします。
「何のためだったのだろう」という感じです。
自分が何もしていない場合には使用しません。
犬がおしっこをした後、一生懸命に後ろ足で蹴って砂をかけるような仕草をすることがあります。
しかし、地面がコンクリートだと砂をかけることはできません。
一生懸命やっているのに、何もなっていないのです。
しかし、このような状態を見た人が無駄だと感じても、この言葉を使うことはありません。
「徒労感」を使った例文
・『徒労感が消えない』
・『徒労感を乗り越える』
・『徒労感が襲ってくる』
・『一生懸命掃除をしたのに、徒労感だけが残った』
「徒労感」の類語
「徒労」の類語は「無駄足」ですが、「無駄足感」とはいいません。
類語は「無駄感」になるでしょう。
「徒労感」の対義語
何かをしたことが役に立ったり、結果を出すことができたりして、満足感を得るという意味で、「達成感」が対義語です。
「疲労感」の意味
「疲労感」とは、肉体や精神を使い過ぎて本来の機能を果たさなくなってしまい、くたびれたと感じることです。
「疲労」には、3つの意味があります。
1つめは、筋肉や精神を酷使して、本来の働きを果たさなくなる状態です。
運動をしすぎると、もうこれ以上動けない状態になることがあります。
肉体については、このような状態を指しています。
2つめの意味は、金属などの材料を何度も使い続けることで、材料の強度が下がることです。
3つめの意味は貧乏です。
いくつかの意味がありますが、「感」がつくと「疲労」が指しているのは1つめの意味になります。
産まれたばかりの子どもの世話は大変なことばかりです。
おむつの交換や授乳など、日中はただでさえ大変なのに、夜泣きをして眠れないと大変さが増します。
睡眠には体や心を休める働きがありますが、よく眠れないと疲れが残ることになります。
この場合は、肉体的な疲れもあるし、眠れない、いつまで続くのだろうなど、精神的な疲れもあります。
疲れが蓄積をしていくと、「くたびれたー」と感じるようになります。
この感じのことを指している言葉です。
「疲労感」の使い方
くたびれたと感じることに使用をします。
肉体についても、精神についても使うことができます。
人それぞれの体力や精神状態は違うので、感じ方は人によって違います。
「疲労感」を使った例文
・『更年期を迎えて疲労感が強くなった』
・『フルマラソンを終えて心地よい疲労感がある』
・『疲労感があっても無理をして出勤する』
・『数か月前からずっと疲労感があります』
「疲労感」の類語
「くたびれ感」「疲れ感」が類語です。
「疲労感」の対義語
疲れていない感じを意味する言葉が対義語です。
疲れていない状態は、元気ということができます。
そのため、「元気」が対義語になります。
まとめ
感じる事柄を意味する2つの言葉ですが、何を感じるのかという点に違いがあります。
無駄であったと感じるのか、疲れたと感じるのかという点が違います。