生まれてから死亡するまでの年齢を表す際に「享年」と「行年」の2つを見かけますが、どのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、「享年」と「行年」の違いを分かりやすく説明していきます。
「享年(きょうねん)」とは?
「享年」とは、「人が死亡した時の年齢を数え年で表したもの」になります。
「享」には「もてなす」や「振る舞う」、「あたる」、「かなう」という意味の他、「享(う)ける」とも書き、「うける」や「うけいれる」などの意味も含んでいます。
「天より享けた(=授かった)年数」という意味から「享年」となりました。
「享年」の数え方である「数え年(かぞえどし)」とは、「生まれた日を1歳として、そこから誕生日を迎えるたびに1歳ずつ年齢を加算していく」というものです。
法要の年忌においても、三回忌より後はこの「数え年」による数え方が用いられています。
ちなみに、現在、一般的に用いられている「生まれた日を0歳として、そこから誕生日を迎えるたびに1歳ずつ年齢を加算していく」数え方は「満年齢(まんねんれい)」と呼ばれています。
「享年」で記載されるときは、「享年80」のように「歳」をつけないケースが多いようですが、絶対の決まりということではないため、「享年80歳」のように「歳」をつけるケースもあるようです。
「行年(ぎょうねん/こうねん)」とは?
「行年」とは、もともとは「この世に生を受けて何歳まで生きたか」や「この世に生を受けて何歳まで修行したか」という意味の言葉であり、そこから転じて「死亡した時の年齢」を指して使われています。
「行」という字は「行(い/ゆ)く」や「行(おこな)う」とも書きますが、元来「時間的な経過」という意味を含んでいたことから「行年」となったようです。
先述した「享年」が「数え年」を用いるのに対して、「行年」では「満年齢」を用います。
「享年」と「行年」の違い
「享年」と「行年」の違いを、分かりやすく解説します。
・「享年」とは、「人が死亡した時の年齢を数え年で表したもの」になります。
・「行年」とは、もともとは「この世に生を受けて何歳まで生きたか」や「この世に生を受けて何歳まで修行したか」という意味の言葉であり、「死亡した時の年齢を満年齢で数えたもの」になります。
「数え年」とは「生まれた日を1歳として年齢を加算していく数え方」であり、「満年齢」とは「生まれた日を0歳として年齢を加算していく数え方」です。
したがって、1月1日に生まれて80年後の1月2日に死亡した場合、「享年」で表す場合は「享年80歳」となり、「行年」で表す場合は「行年79歳」となります。
このように、「享年」と「行年」では意味の違いに加えて、死亡時のタイミングによっては記載される年齢数に差異が生まれます。
ただし、用法に厳格なルールはないため、どちらの表記方法を選ぶのも自由となっています。
まとめ
「享年」と「行年」では細かい意味の違いの他、生まれてから死亡するまでの年齢の数え方に違いがあるということでした。
どちらの表記方法を選んでも間違いにはなりませんが、選択する際は葬儀業者や菩提寺に相談してみるのが良いかもしれません。