この記事では、「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
普段、目上の方やお客様などに対して使うことが多い言葉かと思いますが、意外に細かい違いなどを把握している人は、そう多くはないはずです。
そこで今回は、分かりやすい例文なども用いながら、見ていくことにします。
「恐縮ですが」の意味
最初に「恐縮ですが」(きょうしゅく)の意味をご説明致します。
「恐縮ですが」とは、相手に世話になったり、不都合などをかけたことを、身が縮むほどに申し訳ないと思っている気持ちを表しているのです。
この言葉を使うシーンは色々とあります。
それは、何か頼み事をする際や、謝罪するときや感謝を伝える場面で、使われます。
「恐縮ですが」の使い方
次は「恐縮ですが」の使い方を解説していきます。
「恐縮ですが」を使うときは、基本的に仕事で商談するときや、書面の活字でも使うことが多いでしょう。
もちろんですが、相手へ感謝の気持ちを伝えるときや、申し訳ない気持ち、相談するときに使います。
それでは使い方の詳細を見てみましょう。
「誠に恐縮ですが、予定の時間より30分ほど早く会議が始まりますので、ご了承ください」
「大変恐縮ですが、社長が不在の3日間は、お問い合わせなどは受付することはできません」
このように相手に対して、ひとつひとつ丁寧に理由を説明しながら、謝罪の気持ちを表しているのが、お分かりいただけたはずです。
このような使い方をすれば、相手もこちらの事情を察してくださることが多くなります。
「恐縮ですが」を使った例文
続きまして「恐縮ですが」を使った例文を書いていきます。
・『この間、担当していただいた案件のクオリティが抜群でしたので、間も空けず恐縮ですが、またお願いしたいと思います』 ・『お忙しいところ恐縮ですが、お取り置き品のことでご連絡いただければ幸いです』
・『お盆期間中は夏季休暇としますので、誠に恐縮ですが、ご連絡等は8月17日から可能となります』
・『明日、請求書を発送致しますので、恐縮ですが確認いただけると幸いです』
・『恐縮ですが、お客様は当店をご利用いただくことはできません』
「恐縮ですが」の類語
この項目においては、「恐縮ですが」の類語を取り上げます。
類語の方は、「僭越ですが」(せんえつ)や「申し訳ありませんが」、「お手数おかけしますが」です。
意味は、相手に対して、身分などを弁えない無礼を詫びることや、手間をかけることを申し訳なく思っていることになります。
「恐縮ですが」の対義語
それでは「恐縮ですが」の対義語を解説します。
「恐縮ですが」の対義語は、「大胆不敵」(だいたんふてき)や「人を人とも思わない」です。
これらの意味は、敵に対して自分の方が勝っていると思い込み、敵を侮っていることや、人を蔑んでいることです。
「恐縮ですが」は、相手に対して謙虚になっている状態ですので、上の言葉は対義語として非常に分かりやすいと言えます。
「恐れ入りますが」の意味
ここでは「恐れ入りますが」の意味をご説明致します。
「恐れ入りますが」とは、生じてしまった過ちなどを詫びるときや、相手の器や実力が凄まじくて、圧倒されてしまうときに使用されます。
また、前もって不手際などが生じる可能性などがある場合に、謝罪の意味も兼ねている言葉になるのです。
「恐れ入りますが」の使い方
続いて「恐れ入りますが」の使い方を取り上げます。
基本的に「恐れ入りますが」を使うときは、相手に対して謝罪をするとき、相手の方が上手だと感じたときに使います。
また、前もって謝罪するときにも使えます。
それでは使い方を書きます。
「確認を致しました。恐れ入りますが、こちらの不手際でございました。誠に申し訳ありません」
「恐れ入りますが、貴社の売り上げには、どこの会社や店舗も敵わないと思います」
「安全には万全を期しています。しかし、恐れ入りますが、万が一、損害などが生じましても責任は一切負うことはできません」
このように謝罪から、相手側の実力を認めるとき、前もっての謝罪に使えるのです。
「恐れ入りますが」を使った例文
次の項目では「恐れ入りますが」を使った例文を書いていきます。
・『ご都合が合えば、恐れ入りますが一度、ご来店ください』
・『恐れ入りますが、もしよろしければ、メールを頂けると幸いです』
・『この度は弊社のミスでございました。そこで恐れ入りますが、粗品を贈りたいと考えております』
・『こちらの注意を無視され、損害が生じた場合は、恐れ入りますが、損害への補償は致しませんので、ご了承ください』
・『恐れ入りますが、今一度、資料の方をご確認ください』
「恐れ入りますが」の類語
「恐れ入りますが」の類語を説明します。
「恐れ入りますが」の類語は、「恐悦至極」(きょうえつしごく)です。
これらの意味は、相手への敬意を払うことです。
その喜びを他者に伝えるときなどに使います。
「恐れ入りますが」の対義語
この項目において、「恐れ入りますが」の対義語を取り上げていきます。
「恐れ入りますが」の対義語は、「無礼」(ぶれい)や「無礼千万」(ぶれいせんばん)です。
意味の方は、基本的に相手への尊敬や敬意などが一切なく、失礼の度合いが甚だしく、礼儀が垣間見られないことになります。
「恐縮ですが」と「恐れ入ります」の違い
ここでは「恐縮ですが」と「恐れ入ります」の違いをご説明致します。
使い方の違いの方も見ていきます。
基本的にこの2つの言葉は、相手に対して謙虚に振舞うなどの謙遜の気持ちが前面に出ている部分では同様です。
しかしながら、使うべきシーンやニュアンスなどが微妙に違います。
例えばですが、「恐縮ですが」の場合は、相手へ何か頼みたいときや、謝罪するときに用います。
「恐縮ですが、受け取れません。申し訳ございません」「お忙しいところ恐縮ですが、原稿を仕上げてください」といった具合で使います。
「恐れ入りますが」の方は、目上の方へ何か依頼するときや、申し訳なく思うときに使うことが多いのです。
「恐れ入りますが、こちらの書類にも目を通していただけると幸いです」「弊社の社員の無礼について後日改めて謝罪させていただきます。
そこで恐れ入りますが、ご都合の良い日を教えてはいただけないでしょうか。
この度は、大変申し訳ありませんでした」という表現で使えるのです。
まとめ
まとめは、「恐縮ですが」の場合は、相手に身が縮んでしまうほどに恐れ入っていることです。
また、何か頼み事や相談、謝罪を伝えるときに使うことが主になります。
「恐れ入りますが」の場合は、相手に対して、こちらが恐縮していることになります。
そして、ニュアンスや使う場面は違えど、頼み事や謝罪などをするときに多用します。
後者は、目上の立場の方へも使えるのです。