守口漬は白い酒粕では作れない?
この記事では、「酒粕」と「漬物用酒粕」の違いを分かりやすく説明していきます。
「酒粕」とは?
日本酒の圧搾過程で絞りきった文字通りの粕だと言っていいでしょう。
醪を自動圧搾機にかけて成形。
一見ホワイトチョコやはんぺんに見える酒粕は板粕と呼ばれます。
板粕が崩れたものはバラ粕として扱われます。
近年人気と言えるのはもう一種類の形態。
ペースト状で使いやすい練り粕でしょう。
「漬物用酒粕」とは?
名古屋名物ひつまぶしのお供と言えば守口漬を挙げる人が多いと言えるでしょう。
また静岡県伊豆名産のわさび漬、もちろん奈良県名産の奈良漬けは言うまでもがな。
これらの共通項は漬物用酒粕が使用されている事です。
漬物用酒粕は熟成酒粕と呼ばれた特別なものが使われていました。
新酒粕の出荷分以外をタンクに踏み込み密閉貯蔵して熟成させる工程が入ります。
色も当初の白から桃色、黄金色から茶色へ変化。
そして熟成が完了したものを掘り返して出荷する事になります。
色の変化はアミノ酸とブドウ糖の化学反応であるもの、その変化の仕組み、色の変化は完全に究明されておらず、謎が多い事は有名な話です。
「酒粕」と「漬物用酒粕」の違い
「酒粕」と「漬物用酒粕」の違いを、分かりやすく解説します。
漬物用酒粕は熟成酒粕と言い換える事ができる通り、酒粕を熟成させないと出来上がりません。
これは日本酒の“しぼりたて”と“ひやおろし”の関係に通じるところがあると言えます。
また漬物用酒粕は意図的に使用する場合を除けば、吟醸・大吟醸の酒粕は使いません。
吟醸酒に吟醸香という言葉が存在する通り、吟醸・大吟醸の酒粕は芳醇でフルーティーな香りが持ち味です。
また純米大吟醸の酒粕は貴重で希少性が高いのは言うまでもありません。
もし熟成させる場合には場所や踏み込むタンクも別途用意する必要。
また熟成により吟醸香が飛ぶ可能性も充分にあり得ます。
このため漬物用酒粕に使用されるのは純米酒や本醸造酒で圧搾された、惜しみなく使えるものだと言っていいでしょう。
まとめ
酒粕と漬物用酒粕の違いは熟成の工程の有無だと言っていいでしょう。
当然ながら酒粕は大吟醸・吟醸・純米・本醸造と種類があり、大吟醸の中でも著名な銘柄の酒粕はプレミアム商品として別途扱われる事も多々あります。
これらは値段と用途によって住み分けされると言っていいでしょう。
一方の漬物用酒粕は純米酒や純米本醸造といった米の旨みがあり、日本酒を仕込む際に大量に副産物として生まれた酒粕から使われる事が多いと言えます。
大吟醸・吟醸系から漬物用酒粕はできない事はありません。
しかし最大の特徴である芳醇な吟醸香が失われる可能性が極めて高く本末転倒なのは言うまでもないでしょう。