この記事では、「それぞれ」と「おのおの」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「それぞれ」と「おのおの」の違い
「それぞれ」には、いくつかある物や人の、ひとつひとつ、ひとりひとり、という意味があります。
「おのおの」には、多くのものや人の、ひとつひとつ、ひとりひとり、という意味があります。
どちらの言葉も意味はほぼ同じです。
家族5人で電車を使って旅行をすることになりました。
電車に乗るために切符を購入します。
切符はひとりひとりが別々に持っていないと、改札を通過することができません。
誰か代表が5人分の切符を持っていて、それを見せれば通過できるというものではないのです。
そのため、切符はひとりひとりが持つことになります。
このことは、「切符をひとりひとりが持つ」ということができます。
この「ひとりひとり」を意味する言葉です。
どちらの言葉を使っても表現できます。
しかし、同じように使えないことがあります。
「それぞれ」の場合は、「映画も芝居もテレビドラマもそれぞれ魅力がある」のようないい方をし、いくつかあるものを違って扱う意味合いを持っています。
これを「おのおの」に置き換えることはできません。
「おのおの」の場合は、「会員のおのおのが発言する」のように、ひとつひとつ、ひとりひとりを同列に扱っています。
「それぞれ」と「おのおの」の使い方の違い
ほぼ同じ意味を持っているので、ほぼ同じように使用することが可能です。
どちらかの言葉に置き換えて表現することができます。
しかし、「それぞれ」の場合はひとつひとつ、ひとりひとりを異なるものとして扱っているのに対し、「おのおの」は同列に扱っているので、置き換えて使用できないことがあります。
たとえば、「料理も裁縫もそれぞれ得意」は、料理と裁縫は異なるものなので、「それぞれ」で表現をします。
これを「おのおの」に置き換えることはできません。
「それぞれ」と「おのおの」の英語表記の違い
「それぞれ」は英語で“each”や“respectively”と表現をします。
「おのおの」は英語で“each”と表現をします。
「それぞれ」の意味
「それぞれ」とは、2つ以上ある物や人のひとつひとつ、ひとりひとりのことです。
小学校では、自分の持ち物にすべて名前を付けるように指導されます。
小学校で使う物には、鉛筆、定規、筆箱、ノート、体操服、上靴などがあります。
これらひとつひとつの物を指す場合に、この言葉でいうことができます。
全部まとめてではなく、鉛筆、定規、筆箱などを、ひとつひとつ別の物としてみています。
鉛筆は文字などを書くためのもの、筆箱は鉛筆や定規などを入れておくための物で、どちらも役割が違います。
鉛筆と定規は別のものなのです。
この言葉は、ひとつひとつの物が別であるところに意識を向けています。
別の事柄で考えてみます。
水槽の中には、メダカ、ドジョウ、ミナミヌマエビ、タニシなどがいます。
同じ水槽という場所にいても、ひとつひとつの生物はどれも同じではありません。
水槽にいるすべての生物という意味ではなく、メダカはメダカ、ドジョウはドジョウなど、それぞれの違いに意識を向けています。
「それぞれ」の使い方
物や人のひとつひとつ、ひとりひとりを意味して使用します。
わざわざ、ひとつひとつ、ひとりひとりというのだから、複数の物や人が存在していることになります。
他のものとは区別をするために用いているのです。
「それぞれ」を使った例文
・『太郎と花子はそれぞれ犬を飼っている』
・『それぞれの役を演じる』
・『それぞれの持ち味が活かされている』
・『マークとエリックは、それぞれ日本語と英語を話す』
「それぞれ」の類語
「おのおの」「個々」が類語です。
どれも「それぞれ」と似た意味を持っています。
「それぞれ」の対義語
いくつかある物や人をわけていないという意味で「一緒」が対義語です。
「おのおの」の意味
「おのおの」には、いくつかある物や人の、ひとつひとつ、ひとりひとりという意味があります。
この言葉は、ひとつひとつ、ひとりひとりの地位や待遇などを同じに扱い、その中のひとつひとつ、ひとりひとりの意味が含まれています。
小中学生書道コンクールというものがあり、このコンクールには小学生・中学生の書道作品が出品されます。
何人もが参加をしていてもその人たちは完全に同じ人ではありませんが、小学生・中学生という点では同列です。
そして、出品している作品に優劣があるものの、書道の作品という点では同列です。
このような、ひとつひとつ、ひとりひとりを同列に扱って、ひとつひとつ、ひとりひとりを含む全体の意味を持っている言葉です。
野球のチームは、1チーム9人で構成されています。
このひとりひとりを指していうことができる言葉です。
この場合、同じチームのメンバーとして同列に扱っています。
「おのおの」の使い方
いくつかある物や人の、ひとつひとつ、ひとりひとりという意味で使用をします。
もともとひとつだったり、ひとりだったりすれば、ひとつ、ひとりを強調する必要はないでしょう。
つまり、2つ以上はあるということになります。
ひとつひとつ、ひとりひとりを同列に扱う意味が含まれているので、この言葉が指すものが同じような性質を持つ場合に使うことが多くあります。
「料理も裁縫もおのおの得意」というと、料理と裁縫は同列のものではないので、違和感があります。
「クラスの生徒がおのおの」というと、クラスの生徒を同列に扱っていることになります。
「おのおの」を使った例文
・『おのおのが発言をする』
・『おのおのが好きなポーズをとる』
・『おのおのの魅力が発揮される』
・『おのおのが工夫をしています』
「おのおの」の類語
「それぞれ」「個々」が類語です。
「おのおの」の対義語
いくつかる物や人が別でないという意味で「一緒」が対義語です。
まとめ
2つの言葉が持っている意味はほぼ同じで、どちらかの言葉に置き換えて使うことができます。
しかし、やや意味合いが違うので、同じように使えないこともあります。