「採用」と「採択」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「採用」と「採択」の違い生活・教育

この記事では、「採用」「採択」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「採用」と「採択」の違い

「採用」には「その仕事にふさわしい能力・性格などを持っていると判断して雇うこと」の意味がありますが、「採択」には「人材として選抜する・雇い入れる」といった意味はありません。

「採用」の言葉は、「適切であると判断できる人やアイデア、メソッドなどを採って用いる」を意味しています。

「採用」に対して「採択」は、「複数の意見・提案・動議の中から一つを選び取ること」を示唆している点に違いがあります。

「採用」には「人や考え方などを実際に用いる」のニュアンスがありますが、「採択」「用いる」よりも「選び取って掲げる」のニュアンスが強くなっています。


「採用」と「採択」の使い方の違い

「採用」「採択」のもっとも代表的な使い方の違いは、「試験・面接などを行って、人材を選別して雇うこと」に使えるか否かにあります。

「採用」は、「採用面接・採用試験」などの「人を選んで雇用することに関連する言葉」として使われます。

「採択」のほうは、「採択面接・採択試験」といった「雇用に関わる言葉」としては使えないという違いを挙げることができます。

また「男女平等主義の宣言を採択する」のような「いくつかの限定されたアイデアや宣言の中から一つを選んで掲げる」という意味では、「採用」ではなく「採択」が使われる点も違っています。


「採用」と「採択」の英語表記の違い

英語では、「採用」「採択」も同じ“adoption”で表すことができます。

「採用」は、英語を使用して表記すると以下になります。

“adoption”……「採用」を意味している英語の名詞です。

“adopt”……「採用する」を意味している英語の動詞です。

“employment”……「人を雇うこと・人材を採用すること」を意味している英語の名詞です。

“employ”……「人を雇う・人を採用する」を意味している英語の動詞です。

「採択」は、英語を使って表現すると以下になります。

“adoption”……「採択」を意味している英語の名詞です。

“adopt”……「採択する」を意味している英語の動詞です。

“selection”……「複数のものの中から一つを選び取る選択・採択」を意味している英語の名詞です。

“select”……「限られたものの中から選択する・採択する」を意味している英語の動詞です。

「採用」の意味

「採用(さいよう)」とは、「人材をテスト・面接などで選抜して雇い入れること」を意味しています。

「採用」の言葉は、「ある職業・仕事・役割に見合うだけの能力や適性を持っている人材を雇って用いること」といった意味を持っています。

また「採用」は、「ある条件を満たしていて適切と思われる提案・やり方・意見などを取り上げて用いる」を示唆している言葉でもあります。

「採用」の使い方

「採用」の言葉は、「その仕事・役割に必要なスペックや適性を持っている人材を雇う」の意味で使うことができます。

「採用」「建築設計の技術者を採用する」「採用試験の勉強をする」などのように、「その仕事に必要な資質・能力・経験などがある人を雇う」の意味で使用されます。

また「そのアイデアを採用する」のように、「一定の基準をクリアしたアイデア・方法などを取り上げて使う」を示唆して使われる場合もあります。

「採用」を使った例文

・『今年の公務員採用試験は、例年の問題よりも難易度が高いように感じました。』
・『大手の医療機器メーカーに採用されることが内定したと両親に報告すると、とても喜んでくれました。』
・『新卒で採用されるチャンスを逃すと、その後の職業キャリアを積み上げることが難しくなりがちです。』
・『社内コンペで、新入社員が提出した面白い企画案が採用されることが決まりました。』
・『この海底トンネルの掘削工事では、どの掘削方法を採用するかによってコストが大きく変わってきます。』

「採用」の類語

「採用」の類語には、以下の言葉があります。

・『雇用(こよう)』……適性・能力・実績などの基準を満たしている人材を雇い入れること。雇って会社・団体のメンバーの一員にすること。

・『取り上げる(とりあげる)』……適切なものとしてピックアップされているものの中から選び出すこと。

「採用」の対義語

「採用」の対義語には、以下の言葉があります。

・『不採用(ふさいよう)』……人材・意見・ビジョンなどを取り上げて用いないこと。採用しないこと。

「採択」の意味

「採択(さいたく)」とは、「いくつかの意見・案・動議の中から一つを、優れたものとして選び取ること」を意味しています。

「採択」というのは、「限定された選択肢の中から、選別して取り上げること」を示している言葉です。

「採択」の表現には、「良いものと判断された意見・宣言・アイデアなどを選び取って掲げる」といったニュアンスがあります。

「採択」の使い方

「採択」の使い方は、「いくつかの限られた選択肢から、良い(適切である)と判断できるものを選んで取り上げる」を意味して使います。

例えば、「どんな政策が採択されるのかは、現時点でははっきりしていません」などの文章で使えます。

「採択」を使った例文

・『社会保障費のコスト増大をまかなうために、所得税やタバコ税を引き上げる決議が採択されました。』
・『国際スポーツ大会で、正々堂々と戦うスポーツマンシップの精神を推奨する宣言が採択されました。』
・『この会議で採択されるビジョンによって、今後の会社の経営方針が大きく変更される可能性があります。』
・『1948年の12月10日に世界人権宣言が採択されましたが、それから70年以上経った現在でも人権侵害の問題は多く残されています。』
・『国会で採択された国民投票の方法に関する決議に反対する有権者が、デモ行進を行っています。』

「採択」の類語

「採択」の類語には、以下の言葉があります。

・『導入(どうにゅう)』……外部から、ある方法・技術などを導いて自らのものにすること。

・『選択(せんたく)』……複数の選択肢の中から、どれかを選び取ること。

「採択」の対義語

「採択」の対義語には、以下の言葉があります。

・『棄却(ききゃく)』……採択することなく捨て去ること。破棄して退けること。法的な申し立てを無効にすること。

まとめ

「採用」「採択」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「採用」「採択」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい場合は、この記事の解説をチェックしてみてください。