「納める」と「治める」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「納める」と「治める」の違い生活・教育

この記事では、「納める」「治める」の違いを分かりやすく説明していきます。

「納める」と「治める」の違い

「納める」「治める」の違いについて紹介します。


「納める」と「治める」の使い方の違い

「納める」「ある物をしかるべき場所に入れること」に使われます。

お金や品物などを、入れるところに入れたり、保管するところに保管することを言います。

「治める」「災害や争いなどが起きない様にうまく管理すること」に使われます。

地域や国の状況について、権限を持っている人が上手に処理することを言います。


「納める」と「治める」の英語表記の違い

「納める」の英語表記は以下の通りです。

1つ目は「pay」で、「支払う」「(代償を)払う」「納める」という意味があり、「ペイ」と日本語にもなっています。

“Japanese people are obliged to pay the tax.”
(日本国民には税金を納める義務がある)
2つ目は「deliver」で、「引き渡す」「届ける」「納める」という意味があります。

名詞形は「delivery」で、「デリバリー」と日本語にもなっています。

“Please deliver the article to us by tomorrow.”
(商品は明日までに納めてください)
「治める」の英語表記は以下の通りです。

1つ目は「rule」で、「定める」「支配する」「治める」という意味があり、「ルール」と日本語にもなっています。

“The King rules the huge country.”
(王は広大な国を治めている)
2つ目は「govern」「束ねる」「司る」「統治する」「治める」という意味です。

“If he lost his position, who governs the country.”
(もし彼が失脚したら、誰が国を治めるのだろう)

「納める」の意味

「納める」「おさめる」と読み、以下の3つの意味があります。

1つ目は「定められた場所にきちんとしまうこと」という意味で、物をしかるべき場所に入れて保管することを言います。

2つ目は「払うべき金品を相手に受け渡すこと」という意味で、規則や契約で決まっている金品を相手に渡すことを言います。

3つ目は「ものごとをそれで終わりにするけじめをつけること」という意味で、最後に何かすることを言います。

上記に共通するのは「謙遜する姿勢で物を渡したり、行動すること」という意味です。

「納める」の使い方

「納める」「然るべき場所にしまう」「相手に金品を渡す」「ものごとの終わりのけじめをつけること」に使われます。

「納める・納めた」と動詞として使われたり、「納めて」と副詞として使われたりします。

「納める」「収める」と同じ語源ですが、主に「上下関係があること」「終わりにすること」に使われます。

「納める」を使った例文

・『何とか納期に間に合わせて取引先に商品を納められた』
・『仕事が決まり、給料が入ったので滞納していた税金をやっと納めた』
・『大学に合格したので、さっそく入学金を納めた』
・『仕事納めなので部署の有志で遅くまで飲み明かした』
・『婚約が成立したので、結婚相談所に契約で決まっている謝礼金を納めた』

「納める」の類語

「保管する(ほかんする)」「物品を預かり、傷つけたりなくなったりしないように保存・管理すること」という意味です。

「忘れ物を見つけたので、事務所に保管してもらうことにした」などと使われます。

「献上する(けんじょうする)」「主君や偉い立場の人に物を奉ること」「試合や競技で相手に点数をとられること」という意味です。

「地元神社のお祭りがあるので、お酒を献上した」などと使われます。

「納める」の対義語

「取り出す(とりだす)」「中にあるものを外に出すこと」という意味です。

「今までせっせと貯金箱に入れていたお金を、取り出して使うことにした」などと使われます。

「治める」の意味

「治める」「おさめる」と読み、以下の3つの意味があります。

1つ目は「乱れているもの、不安定なものを落ち着かせる」という意味で、荒れている状態を平静に戻すことを言います。

2つ目は「地域や国家、組織などを秩序ある状態に管理すること」という意味で、統率者としてうまく取り仕切ることを言います。

3つ目は「病気などを治すこと」という意味で、社会的に蔓延する感染症などを収束させることをいいます。

「治める」の使い方

「治める」は主に「乱れているものを落ち着かせること」「地域や国家、組織などを取り仕切ること」に使われます。

「治める・治めた」「治められる・治められた」と動詞として使われたり、「治めて」と副詞として使われたりします。

「治める」は、目に見えるものではなく、流動的なものを支配したり管理することに使われる表現です。

「治める」を使った例文

・『昔の日本はいくつもの国に別れていて、それぞれ大名が治めていた』
・『地域を治めるにはその土地に住む人たちの協力も必要だ』
・『彼とケンカして一晩たったが、まだ腹の虫が治まらない』
・『昔は何かと戦争が起きていたので、乱世を治めるのは大変だったと思う』
・『感染症を治める薬を早く開発してほしい』

「治める」の類語

「統治する(とうちする)」
「主権者が自分の国土・人民を支配してまとめること」という意味です。

「国を統治するには権力だけではなく人望も必要だ」などと使われます。

「牛耳る(ぎゅうじる)」
「団体や組織を支配して自分の思いのままに動かすこと」という意味です。

昔の中国では、同盟を結ぶ時に党首が牛の耳を切り、その場にいる者が血をすするという儀式があったことに由来しています。

「彼は下っ端から始まり、いつしか会社を牛耳る存在になった」などと使われます。

「治める」の対義語

「乱す(みだす)」
「平穏なものごとの秩序をなくし、ばらばらにすること」という意味です。

「彼女がいると職場の風紀が乱れる傾向にある」などと使われます。

まとめ

今回は「納める」「治める」について紹介しました。

「納める」「金品しかるべき場所に入れること」「終わりにすること」「治める」「乱れた状態をしずめる」「取り仕切る」と覚えておきましょう。