この記事では、「比較」と「対照」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「比較」と「対照」の違い
「比較」とは、いくつかのものの違うところや優れているところ、劣っているところなどをくらべることです。
「対照」には、2つの意味があります。
1つめは、2つのものの違うところを調べることです。
もう一つは、まったく違う特徴を持つものを並べたとに、同じではない部分が目立つことです。
どちらの言葉にも、比べるという意味が含まれていますが、やや意味合いが違います。
「比較」の場合は、比べるものが2つ以上です。
2つのことや3つのこともあれば、それ以上のこともあります。
そして、それらの違っている部分を調べます。
「対照」の場合は、比べるものが2つです。
3つ以上のことではありません。
2つのものを並べて、同じではない部分を調べることを意味します。
また、違った特徴を持っているものを並べたときに、違いがはっきりするという意味もあります。
「比較」と「対照」の使い方の違い
比べることについてどちらの言葉も使用可能です。
しかし、3つ以上のときには「比較」を使用することが一般的です。
違いがはっきりしているという点を強調したいときには「対照」を使用します。
「比較」と「対照」の英語表記の違い
「比較」は英語で“comparison”と表現をします。
「対処」は英語で“contrast”と表現をします。
「比較」の意味
「比較」とは、いくつかのものの違うところを調べることです。
10歳のときの写真と50歳のときの写真を見てみると、10歳のときにはシワやシミがなかったけれど、50歳になるとシワやシミがある、10歳のときよりも50歳のときの方が身長が高いなど、違っている部分がいくつもあることがわかります。
このとき、違う部分を探していることになります。
このように比べることを意味する言葉です。
引越しをするとき、どの引っ越し業者を選ぶか料金で考えることが少なくありません。
どの業者だともっとも安く引越しできるのか調べられるサイトがあります。
そのサイトでは、引越し前の場所と引っ越し先の場所、荷物の量などを入力すると、いくつもの引っ越し業者のおおよその料金が計算してくれます。
一覧で出てくるので、A業者よりもB業者の方が安いなど違いがわかります。
これも「比較」です。
子どもを持つ親は、自分の子と他の子の勉強の出来具合、身長の高さ、運動能力などの違いを気にすることが少なくないようです。
うちの子よりもあの子の方が勉強ができる、うちの子よりもあの子の方が身長が高いなどです。
これは、自分の子と他の子の違う部分を探している、つまり「比較」しているということができます。
「比較」の使い方
何かと何かの違う部分を調べることについて使用をします。
違う部分を見つけるためには、2つ以上のものが必要です。
「比較」は2つ以上のものがあるときに使用する言葉です。
3つでも、4つでも、それ以上でも使用することができます。
1つのときには比べようがないので使用しません。
何かと何かを比べることは日常生活の中でよくあり、日常的に使われている言葉です。
「比較」を使った例文
・『Aさんと比較しても仕方がない』
・『どの商品がもっとも安いか比較する』
・『A店のカレーとB店のカレーの味を比較してみた』
・『去年の身長と今年の身長を比較する』
「比較」の類語
「比べる」が類語です。
2つ以上のものの違うところや優劣などを調べることです。
「比較」の対義語
違いがないという意味で「同じ」です。
「対照」の意味
「対照」には、2つの意味があります。
1つめは、2つのものの違うところを調べることです。
2つのことについてであり、3つ以上のことではありません。
「対」という漢字には、二つで一組になるもの、むかうという意味があり、このことからも比べるものが2つであることがわかります。
「照」という漢字には、見くらべるという意味があります。
日本語に翻訳されている書籍には、原文があります。
読書好きな方や英語など他国の言葉がわかる人は、訳された書籍だけでなく、原文の書籍を読むこともあるでしょう。
このとき、訳されたものともともとの言葉で書かれていたものは、若干違う部分があることがあります。
違ってしまうのは、日本語では表現できないことだったり、文章が長すぎたりするなど、さまざまな理由があります。
この日本語訳されているものと、もともとの言葉で書かれていたものの違うところを見つけることが「対照」です。
もう一つの意味は、特徴を違うものを並べたときに、違う部分がはっきりとすることです。
赤色とピンク色を並べても大きな違いはわかりませんが、赤色と緑色を並べると違いがはっきりとします。
赤色と緑色は補色の関係にあります。
色相環というものがあり、この図では赤色と緑色は反対の位置にあります。
違う部分はここだとわかるようなことを意味しており、どこが違うのかわかりにくいようなことを意味しているのではありません。
違う部分がはっきりとしていて目立つようなことをいいます。
「対照」の使い方
2つのものの違うところを調べることについて使用をします。
3つ以上のことには使用しません。
比べるものは二つで一組になっていることが少なくありません。
違う部分を探すことを意味しており、同じ部分を探すことを意味しているのではありません。
そのため、同じ部分を探すことには使用しない言葉です。
「対照」を使った例文
・『資料と図を対象する』
・『翻訳されたものと原文を対象する』
・『母親と子どもの遺伝子を対象する』
・『明るい部分と暗い部分の対象がうまい』
「対照」の類語
「対比」「照合」が類語です。
「対比」には、2つのものの同じではない部分を調べるという意味があります。
「照合」には、比べて確かめるという意味があります。
「対照」の対義語
違いがないという意味で「同じ」です。
まとめ
違う部分を調べるという意味を持つ2つの言葉ですが、いくつのものを調べるのかという点で意味が異なります。