「弁償」と「賠償」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「弁償」と「賠償」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「弁償」「賠償」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「弁償」と「賠償」の違い

「弁償」とは、利益を失うようなことを人にしたとき、金銭や物で償うことです。

「賠償」とは、利益を損なうようなことを人にしたとき、金銭で補うことです。

どちらの言葉にも、つぐなう、むくいるという意味を持つ漢字の「償」が使用されており、2つの言葉には、つぐなうという意味が含まれています。

しかし、どのようなことに対して償うのかという点で意味が異なります。

「弁償」の場合は、個人間の話し合いで解決できる、あまり大きくない問題に対して償うことです。

たとえば、友達からシャープペンシルを借りて、それを壊してしまったというような問題です。

これは、法律で解決しようとしなくても、当事者同士の話し合いで解決することができます。

この場合は、新しいシャープペンシルを購入したり、シャープペンシル代を渡したりして償うことでしょう。

「賠償」の場合は、重大な過ちが法的に問題となるような事柄を償うことです。

たとえば、車が塀に衝突をして、塀が壊れてしまったときなどです。

このとき、当事者間で話し合って解決するよりも、警察に訴えることが一般的です。

塀を壊してしまったときは、金銭で償うことでしょう。

このように何を償うのかという点で意味が異なる2つの言葉です。


「弁償」と「賠償」の使い方の違い

利益を損なうようなことに対して、埋め合わせをすることについて使用する2つの言葉です。

当事者間の話し合いで解決できることには「弁償」を使用し、法的に問題となるようなことには「賠償」を使用します。


「弁償」と「賠償」の英語表記の違い

「弁償」は英語で“compensation”と表現をします。

「賠償」も英語で“compensation”と表現をします。

「弁償」の意味

「弁償」とは、人を傷つけるようなこと、不利益を与えるようなことをしたとき、金銭や物で償うことです。

当事者間の話し合いで問題を解決できるような事柄についていいます。

姉妹で洋服の貸し借りをすることがあるでしょう。

体型がそれほど変わらなければ、姉妹で貸し借りができ、貸し借りすることでさまざまな服を着て楽しむことができます。

人から借りたものなので大切に扱うでしょうが、気をつけていても汚してしまったり、破いてしまうことはあります。

もし、汚したり破いたりした場合、謝れば許してくれることもありますが、新しい服を購入して、または服の代金を支払ってと要求されることがあります。

借りた側は、新しい服を購入したり、汚してしまった服の代金を支払ったりして、埋め合わせをします。

姉妹で洋服を貸し借りして借りた服を汚したりしても、警察に訴えることはなく、法的に罰してもらおうとすることもありません。

たいていは、当事者間で話し合いをして解決できます。

このように、話し合いによって解決できるような事柄で、金銭や物で埋め合わせのことを意味する言葉です。

「弁償」の使い方

人を傷つけたり、不利益になるようなことをしたとき、金銭や物で償うことに対して使う言葉です。

話し合いで解決できるようなこと、社会的に大きな問題にならない事柄について使用します。

たとえば、友達から借りた漫画をなくしてしまった、温泉の暖簾を壊してしまった、姉妹で貸し借りしていた服を汚してしまったなどです。

こういった問題は当事者間で話し合って解決できることが少なくなく、社会的に大きな問題とはなりません。

社会的に大きな問題となる殺人などの償いについては使用しない言葉です。

「弁償」を使った例文

・『友達に貸して壊されてしまったシャープペンシルを弁償してくれた』
・『誰が壊したかわからないので弁償してもらうことができない』
・『弁償することで問題が解決した』
・『弁償するという方向で話がまとまりそうだ』

「弁償」の類語

「賠償」「代償」が類語です。

「代償」には、本人に代わって埋め合わせをすること、何かを達成するために犠牲にするものという意味があります。

「弁償」の対義語

対義語はありません。

「賠償」の意味

「賠償」とは、人を傷つけたり、不利益になるようなことをした場合、金銭で償うことです。

法律で解決するような重大な過ちについてをいいます。

学校でいじめがあり、学校側はそれに気が付くことができませんでした。

長い間いじめられていた本人は、自殺をしてしまいました。

自殺によって子どもを失った親は、いじめていた生徒や学校を訴えて、裁判が行われました。

裁判によって悪質ないじめであったこと、いじめていた側に大きな問題があったことなどがはっきりとし、いじめていた生徒の親に対して、自殺をした子どもの親に対して、金銭を支払うことを命じました。

こういった法的に問題となるような事柄について、金銭で埋め合わせをすることを意味する言葉です。

友達からシャープペンシルを借りて壊してしまった場合、優しい友達なら何も償いをしなくても許してくれるでしょう。

しかし、ときには新しいシャープペンを購入するように命じたり、シャープペンシル代金を支払うように命じたりすることがあります。

これも償うことですが、「賠償」はこういったことを意味する言葉ではありません。

この場合は法律で解決しなくても、当事者間の話し合いで解決できます。

社会的に大きな問題となるようなことを意味する言葉で、話し合いで解決できるようなことを指しているのではありません。

また、たいていは償う方法が金銭を支払うことです。

代わりの物を渡して償うという方法はとらないことが一般的です。

「賠償」の使い方

人を傷つけたり、不利益になるようなことをしたときに、金銭で埋め合わせをすることについて使用をします。

法的に問題となる事柄に使う言葉です。

「賠償」を使った例文

・『賠償するように言い渡された』
・『賠償するのは加害者の責任だろう』
・『賠償する義務がある』
・『賠償金を支払って問題は解決した』

「賠償」の類語

「弁償」「代償」が類語です。

「賠償」の対義語

対義語はありません。

まとめ

償うという意味を持つ2つの言葉ですが、どのような問題に対して償うのかという点で意味が異なります。