同じような意味で混同されやすい言葉に「順当」と「順調」と「堅調」があります。
これらの言葉は日常でもよく使いますが具体的にはどのような意味なのでしょうか。
今回は、「順当」と「順調」と「堅調」それぞれの違いについて解説します。
「順当」とは?
「順当」とは、「物事が順序から考えてふさわしく適当であること」を意味する言葉です。
「順当」とは「いくつかあるもののうち常識や道理にそって考えるとそれを選ぶのが妥当であること」を意味する言葉です。
多くの人がその結論を聞いたときに納得するような結論が「順当」であり、その結論に対して意義や反対意見が最も少ないような多数の賛同を得られる判断を指します。
意外性はなく当初の予想や想定通りに物事が進んでいることを意味しており、波乱もなく落ち着くべきところに落ち着いたときに使われる表現です。
「順当」の使い方
・『優勝候補とそのライバルが順当に決勝戦まで勝ち残った』
・『後継社長として順調に現副社長が選ばれた』
「順調」とは?
「順調」とは、「物事の調子がよく滞りなく進んでいる様子」を意味する言葉です。
トラブルが起きたり引っかかったりすることなく当初の想定通りにスムーズに事が運んでいる様子を指して「順調」と表現します。
進行途中にある物事を指す言葉で、進行している状態に問題がなく具合がいいことを表す場合に用いられる表現です。
「順調」をどうとらえるかはケースによって異なります。
多少のトラブルが合っても全体として大きな支障がなければ「順調」と表現することもあれば、わずかなつまずきでも「順調」ではなくなってしまうこともあります。
物事がはかどっている様子を指す言葉なので期待以上の成果が出ている場合にのみ使われます。
「順調」の使い方
・『骨折した部分は順調に回復している』
・『体育祭の準備は順調に進んでいる』
「堅調」とは?
「堅調」とは、「物事が安定して大きく崩れることなく進んでいる様子」を意味する言葉です。
「堅調」が意味するのは「安定性」です。
「多少の波はあっても大きく崩れることがなく一定の水準以上で推移すること」を指して「堅調」と表現します。
好調不調を問わず安定性を重視した言葉なので想定以上に悪くなってしまうだけでなく予想を超えて良い状態になった場合も「堅調」という表現は使われません。
上振れも下振れも少ないのが「堅調」なので大きな失敗もないかわりに大成功もないときに用いられる表現です。
「堅調」の使い方
・『新製品は堅調な売れ行きを示している』
・『堅調な業績を背景に東京進出を計画する』
「順当」と「順調」と「堅調」の違い
「順当」と「順調」と「堅調」はどれも安定や安心といったニュアンスを含む言葉です。
「順当」は客観的に見ておさまりがよく納得感があるさまを表す言葉で実績や現在の調子を表す言葉ではありません。
「順調」と「堅調」はどちらも現在の調子や状態のよさを表す言葉ですが「順調」が上方向に調子がいい様子を表すのに対し、「堅調」は大きく下がることはなく一定水準を維持している底堅さを強調している表現です。
多くの人が妥当だと思うのが「順当」、現状からさらによい結果が期待できるのが「順調」、悪くなる不安が少ないのが「堅調」という違いがあります。
まとめ
「順当」と「順調」と「堅調」はよく似ていて混同されやすい言葉ですが本来は全く違う意味の言葉です。
間違えて使うことのないようにそれぞれの意味をきちんと覚えておきましょう。