フランスのミレーという画家の最も有名な絵として「種蒔く人」というものがあります。
畑で、種を蒔いている人が主題になっています。
それでは、この「蒔く」とはどういう意味でしょうか。
また、「播く」とは、どう違うのでしょうか。
この記事では、「蒔く」と「播く」の違いを分かりやすく説明していきます。
「蒔く」とは?
「蒔く」とは、種などをまくという意味で使われる言葉です。
「蒔」という漢字のなかの「時」は、「とき」を表す「時」とはまったく関係ない字で「まく」という行為の形を表したものです。
それにくさかんむりが付くことによって、植物の種をまくという意味につながります。
「播く」とは?
「播く」とは、種などをまくという意味で使われる言葉です。
「播」という漢字には、もともと人が耕した土地という意味があります。
そこから、その耕した土地に種をまくという意味に転じたものです。
「蒔く」と「播く」の違い
「蒔く」と「播く」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、「種をまく」という意味を表すために使われる漢字であることは同じで、多くの場合はどちらを使っても間違いではありません。
しかし、実は微妙にニュアンスが違います。
それぞれの文字のみが使用される熟語を調べてみることによって違いを明確にすることができます。
例えば、文化などが広く伝わってゆくという意味を持つ「伝播」という熟語には「播」しか使われませんし、漆器の表面に金粉などを蒔いたものは「蒔絵」としか記述しません。
この2つが、すなわち「蒔く」と「播く」の違いと言って良いでしょう。
つまり、「蒔」は比較的狭い範囲に何かをまくことに使われ、「播」は広い範囲に何かをまく時に使われるというニュアンスを持つということです。
まとめ
この記事では、「蒔く」と「播く」の違いを、解説してきました。
序文で述べたように「種蒔く人」の絵は誰もが見たことがあるような有名な絵なのですが、実はこの絵は、ほとんど同じ構図の2点が存在し、山梨県立美術館とボストン美術館に所蔵されていることは有名な話です。