日本語には雨の表現がいくつもありますが「糠雨」と「霧雨」もその一つです。
これらの表現は具体的にどのような雨を指すのでしょうか。
今回は、「糠雨」と「霧雨」の違いを解説します。
「糠雨」とは?
「糠雨」とは、「ぬかのようにきめ細かい雨」を表す言葉です。
「糠雨」の使い方
「糠雨」の「糠」とは米を精米するときに副産物としてできる白米の周りについている部分を削り落とした「ぬか」のことです。
粉末状のぬかは非常にキメが細かく肌の汚れを洗い落とす洗顔料としても使われています。
水に入れるとすぐに溶けて無くなってしまうほどキメの細かいぬかのような細かく降る雨のことを「糠雨」と表現します。
一般的には粒子が細かく勢いも弱い、肌にあたっても心地よく感じるような微弱な雨を指す言葉です。
「霧雨」とは?
「霧雨」とは、「霧のように降る雨」を表す言葉です。
「霧雨」の使い方
空気中の水蒸気が気温の低下などの理由で水滴になり空中に漂っている状態のことを「霧」といいます。
弱く小さい雨が霧のように細かく降る様子を「霧雨」といいます。
気象用語では雨粒の直径が0. 5ミリ以下の雨のことを「霧雨」と定義していますが一般的にはそこまで厳密に区別されることは少なく、音もなく静かに降り立ち込めるような雨のことを「霧雨」と呼んでいます。
「糠雨」と「霧雨」の違い
「糠雨」と「霧雨」にはっきりとした違いはなくどちらも弱く降る小さな雨粒を表します。
しいてあげるなら「糠雨」は文学的な表現で弱く降る雨を風情あるものとしてとらえているのに対し、「霧雨」は客観的に見てわかる雨の降り方そのものを表し気象用語としても使われている科学的な表現という違いがあります。
「糠雨」の例文
・『朝から糠雨が降っている』
・『それは糠雨が降る春の日だった』
「霧雨」の例文
・『霧雨で体が冷える』
・『一日中霧雨が降っていた』
まとめ
「糠雨」と「霧雨」は同じような意味で使われる言葉です。
雨の降り方そのものではなく雨に対する気持ちやとらえ方で区別される表現なのでそれぞれどのような意味合いが込められているのか正しく理解しておきましょう。