この記事では、「ロココ調」と「バロック調」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ロココ調」とは?
「ロココ調」とは、18世紀、ルイ15世の時代にフランス宮廷から始まりを迎えた美術様式です。
後述する「バロック調」に続く美術様式であり、曲線的で女性的、かつ、貝殻や植物などを象徴としたデザインが特徴です。
「ロココ」という言葉は「ロカイユ」=“rocaille”に由来しています。
「ロカイユ」は「岩」を意味し、もともと「バロック」時代の庭園洞窟(=グロット)に貝殻で装飾を施した岩組のことを差していましたが、転じて、1730年代ごろから流行したそうです。
「ロココ調」の代表的な建築物にはフランスのプティ・トリアノンやイタリアのカゼルタ宮殿、ドイツのシャルロッテンブルク宮殿、オーストリアのシェーンブルン宮殿、スウェーデンのドロットニングホルム宮殿、ロシアのエカテリーナ宮殿などがあります。
「バロック調」とは?
「バロック調」とは、16世紀から17世紀初め、イタリアのヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ、マントヴァで始まりを迎えた美術様式です。
豪華絢爛で男性的、保守回帰的で絶対君主制を象徴するような力強いデザインが特徴です。
「バロック」という言葉の語源ですが、宝石や真珠のいびつな形状を意味するポルトガル語“barroco”に由来する説やラテン語の“baroco”に由来する説、詐欺を意味する中世イタリア語“barocchio”に由来する説、バロック初期の画家である「フェデリコ・バロッチ」に由来する説など多々挙げられています。
「バロック調」の代表的な建築物にはイタリアのサンピエトロ大聖堂やトレヴィの泉、イギリスのセント・ポール大聖堂やフランスのヴェルサイユ宮殿、スウェーデンのドロットニングホルム宮殿、ポーランドのヴィラヌフ宮殿、ロシアのストロガノフ宮殿などがあります。
「ロココ調」と「バロック調」の違い
まず、「バロック調」は 16世紀から17世紀初めにイタリアで誕生し、ヨーロッパ全土で流行した美術様式のことです。
そして、「ロココ調」は18世紀、フランスで誕生し、同じくヨーロッパ全土で流行した「バロック調」に続く美術様式のことです。
対照的な特徴を持つ「バロック調」と「ロココ調」ですが、2つに明確な線引きはなく、「ロココ」を「バロック」の一種とする考え方もあるようです。
まとめ
男性的かつ絢爛なデザインが特徴の美術様式が「バロック調」、女性的かつ曲線的なデザインが特徴の美術様式が「ロココ調」ということでした。