「鎮座」と「座る」はどちらも「座」の漢字が使われていますが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「鎮座」と「座る」の違いを解説します。
「鎮座」とは?
「鎮座」とは、「神霊がひとつの場所に落ち着いて存在すること」を意味する言葉です。
「鎮座」の使い方
決まった場所に神様が静かに居続ける様子を表す言葉で、社に祀られた神様がその場所に穏やかな様子で居続けているような状態を表します。
本来は神霊が安定してその場所にいる様子のみに使われる言葉でしたが、揺らぐことなく安定してとどまる様子から転じて「遠慮のない神様のように気遣いもなくどっかりと座っているさま」という意味でも使われます。
人が遠慮なく座る様子だけではなくどっしりと存在感を示して置かれている物品に対しても使われる表現です。
「座る」とは?
「座る」とは、「膝を曲げて物の上に腰を下ろすこと」を意味する言葉です。
「座る」の使い方
膝を曲げ位置が下がった尻を別の物体の上に乗せて体重をかけているさまを表す言葉で、そのような状態に移行する動作の意味でも使われます。
体重を足で支える必要がなく負担が少ないことから休息や疲労の軽減のために行われます。
「鎮座」と「座る」の違い
「鎮座」は神霊が落ち着いてそこにいる状態を指すのに対し、「座る」は多くの人が一般的に取るありふれた腰掛けの動作を指します。
人に対して「鎮座」という言葉を使うのはふさわしくない場所に我が物顔で存在しているようなどっしりと大げさな様子をからかう場合で、本来の意味である神霊とは無関係です。
「鎮座」の例文
・『天照大神が鎮座する社を掃除する』
・『山の頂上に古い祠が鎮座している』
「座る」の例文
・『くたびれてきたので椅子に座る』
・『予約していた座席に座る』
まとめ
「鎮座」と「座る」は全く意味が異なる言葉です。
からかい混じりの意味合いで用いられる場合もはっきりと区別されているので、それぞれの意味を正しく理解して使い分けてください。