農業に従事する人を指す言葉として「農民」と「百姓」があります。
2つの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「農民」と「百姓」の違いを解説します。
「農民」とは?
「農民」とは、「農業労働に従事する人」を指す言葉です。
「農民」の使い方
仕事として農業に従事する人を指します。
育てる作物の種類や規模には関係なく農業を仕事にしている人全般を指す言葉が「農民」です。
生計を立てるための手段として農業に従事している職業的農業従事者を表す言葉なので自分の意思で農業という仕事を選びいつでも仕事を辞めてられ農業から離れられる自由を持つ人を「農民」と表現します。
「百姓」とは?
「百姓」とは、「農業で生きている人」を意味する言葉です。
「百姓」の使い方
元々は「ありふれた人」を意味し現代でいうところの庶民や一般市民に近い意味合いの言葉でしたが、古代から中世にかけての社会でありふれていたのは農業しかない貧しい階級の人であったことから「農業に従事する貧しい身分」という意味に変化します。
封建制社会では仕事内容としての農業よりも身分階級としての意味合いが強くなります。
近代に入ると身分階級的な意味合いは薄れ単に農業に従事する人を指す言葉として使われるようになりましたが、現代でも差別的ニュアンスが含まれるとして使用には慎重さが求められる表現です。
「農民」と「百姓」の違い
「農民」と「百姓」の違いは「階級」です。
「農民」は漁師や商人などと同じように仕事の種類を表す言葉に対し「百姓」は侍や貴族などと同じように職業を表すとともにその職業につくしか選択肢がない身分階級であることを示す意味合いが含まれます。
「農民」の例文
・『人口の8割が農民だ』
・『農民が減少すれば食料生産量も減る』
「百姓」の例文
・『侍には百姓の苦しみが理解できない』
・『百姓が一揆を起こす』
まとめ
「農民」と「百姓」は身分階級的要素の違いで区別されます。
場面によっては差別的にとらえられる可能性もあるので注意してください。