会話の中で何気に使っている想定と推定。
しかしながら、それぞれの意味を改めて考えてみると漠然とした説明しかできないのが普通です。
さて、想定と推定に違いはあるのでしょうか。
この記事では、想定と推定の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
想定と推定の違い
想定を簡単に説明すると、「こうなったら、こうなるだろうなあ」と頭の中で可能性を探り出す行為のことです。
そのため、あくまでも自分自身の中の考えでしかありません。
一方の推定は、ひとつの真実や事実が最初にある点に違いがあります。
その真実に向き合って考えを巡らして仮説を立てることが推定です。
全てが想像の域を出ない想定と事実の先に存在する推定は、似たイメージを持つ言葉ではありますが、同じようには使えない言葉なのです。
想定と推定の使い方の違い
一般の人が会話の中で使いやすいのが想定です。
某著名人が「想定内」という言葉を使ってからしばらくは、誰もが得意になって想定という言葉を用いていました。
その後は、誰もが迷うことなく口にする言葉のひとつになっています。
著名人が使い始めたために、少し知的な印象を与えられるという点でも好まれています。
推定はというと、使うのは意外に難しい言葉のひとつです。
頻繁に使われる場としては、裁判所が挙げられます。
検事や弁護士が裁判中に用いる言葉なので、知っていたとしてもなかなか使いこなす場面に遭遇できません。
誰もがしり込みをしてしまう印象を持っていると言えます。
親しんでいる想定という言葉と言い慣れない推定。
ふたつの言葉は、このような違いも持ち合わせています。
想定と推定の英語表記の違い
想定を英語表記にすると「Assumption」になります。
推定は、「Estimation」です。
ただし、それぞれの言葉の英語表記を入れ替えても間違いではありません。
英語の場合、想定や推定に意味の違いが曖昧になるからです。
つまり、どちらかの英単語を記憶しておくと、英会話ではとても便利に使えます。
それぞれが名詞ですが、それぞれ「Assuming」と「Estimated」のように形を変えれば、動詞として使える意味になります。
想定の意味
想像力を働かせ、状況や条件を仮に設定し、その場合にはどのような結果となるのかと考えることを想定すると言います。
考えることによって、どのような結果に繋がるのか予め予想して、その結果に備えるために行う行為のことです。
あくまでも起こる可能性を前提としているので、単なる想像や妄想とは異なります。
同じような意味合いで、シミュレーションという言葉を選ぶ人もいます。
想定もシミュレーションも同じ意味として、よく使われる言葉のひとつです。
想定の使い方
想定自体は名詞なので、思いを巡らせる行為については「想定する」という形にし、動詞として使います。
想定を使った例文
・『あの子の選択は想定内だから、驚きはしない』
・『想定外の事態に陥り、対応が遅れてしまった』
・『これくらいの誤差は想定していたので問題はない』
・『想定を上回る大惨事』
想定の類語
想定の類語には、「推し計る」や「推考」が挙げられます。
想定の対義語
想定の対義語は、結果です。
可能性のあることをあれこれと思いめぐらすことの末に訪れる答えが結果ですから、これが対義語であると言えます。
推定の意味
推定とは、すでに明らかになっている事実をヒントとし、そこから答えを導き出すことです。
つまり、ある要素を基礎として考えられる答えに対して「これが正解に違いない」と結論付けるのが推定なのです。
この推定は、すべてにおいて証拠がない場合にも信憑性があると賛同が得られるレベルになります。
推定の使い方
「推定〇〇」のように、おそらく〇〇だろうというような状況を説明する際に用います。
推定を使った例文
・『推定無罪とは、有罪になるまでは無罪に等しいということだ』
・『このまま何もなければ推定相続人なのだから心配ない』
推定の類語
推定の類語には、「見做す」や「推測」が挙げられます。
推定の対義語
推定の対義語は、「確認」や「断定」が挙げられます。
推定には少なからず思い込みというニュアンスが含まれるので、確たる要因を導く「確認」が対義語であると言えます。
「断定」は絶対的根拠に基づくものなので、推定とは反する言葉です。
まとめ
正しい意味を知る前には、思い込みで想定と推定を使っていた人もいることでしょう。
難しい言葉だけに、誤って使うと「知ったかぶり」のレッテルを貼られてしまいます。
想定は、「自分が思うにこういうことなんだと思うよ」と相手に伝える場面で使えます。
また、推定は使う場面に滅多に遭遇しません。
法曹関係者が使う言葉なんだと使うのを諦めるくらいが正解。
それくらいに捉えていれば、使い間違えて恥を掻くこともなくなります。