この記事では、「指針」と「方針」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「指針」と「方針」の違い
「指針」も「方針」も「物事を進める場合の方向性」を示していますが、「自発的にその方向性を決めた程度」に違いがあります。
「指針」は、「ある物事をどのように進めていくのかについての外部から規定された方向性」という意味のニュアンスが強くなっています。
それに対して、「方針」の言葉は「ある物事について自分で考えたり決めたりした方向性」という意味のニュアンスが強くて、「外部から影響を受けている度合い」が小さいという違いを指摘できます。
「指針」と「方針」の使い方の違い
「指針」も「方針」も「磁石の方位を指し示す針」の意味で使われますが、「時刻を示す時計の針」の意味合いでは「指針」が使われる違いがあります。
「指針」は「幼少期の祖父の教えが人生の指針になっています」のように、「外部や他者からの影響を受けた方向性および基準」のニュアンスで使われます。
「方針」の言葉は「自分のビジネスは顧客満足度を再重視する方針で展開してきました」など、「自分自身が能動的に決めた方向性・やり方」といったニュアンスで使われやすいという違いを示すことができます。
「指針」と「方針」の英語表記の違い
「指針」を、英語を使って表記すると以下になります。
“guideline”……外部から大まかなやり方・手順として示されたガイドライン(手引き書)。
指針。
“guideline principle”……ガイドラインに書かれてる規範・規程。
ルール的な要素があるこれからの方向性。
指針。
“compass needle”……コンパス(方位磁石)の方角を教えてくれる針。
指針。
「方針」を、英語を用いて表現すると以下になります。
“policy”……自分自身で考えて守っている信念・信条。
特定の政党・政治家などの政策方針。
方針。
“plan”……ある物事をこれからどのようにやっていくのかの計画や構想。
大まかな方向性。
方針。
“objective”……ある活動を行うに当たっての目標・目的・方向。
狙っている対象やゴール。
方針。
「指針」の意味
「指針(ししん)」とは、「ある活動を実行する際の大まかな方向性」を意味しています。
「指針」というのは、「ある物事をどのように進行すれば良いのかを示唆してくれる参考になるもの」を意味している言葉なのです。
「指針」は、「ある物事を行うに当たって参照できる手引き・進め方」を指しています。
また「指針」には、「時計や各種の計器類についている物理的な針」といった意味合いも備わっています。
「指針」の使い方
「指針」は、「物事を実行する時の方向性」の意味合いで使うことができます。
「指針」の言葉は、特に「外部あるいは他の人から影響を受けたり示唆されたりして規定された方向性・手引き」というニュアンスで使う使い方になります。
例えば、「どんな指針で大会を運営するのかは委員会の会議で決定される予定になっています」などの文章で使用されています。
「指針」を使った例文
・『高校時代の恩師が私に、「自分の夢を実現するための具体的なやり方と手順を常に考えろ」と言ってくれた言葉が人生の指針になっています。』
・『社員みんなに新型コロナウイルス感染防止のため、社食で雑談してはいけないとの指針が出されました。』
・『事故再発防止委員会の基本指針を策定するための議論が、予定を大幅に超えて長引きました。』
・『誰とどの程度の関係性を維持していくのかの指針がしっかりしていないと、人間関係の悩みが増えてきます。』
・『時計の指針がちょうど12時を指した瞬間に、親友からのスマホの着信が鳴ったのです。』
「指針」の類語
「指針」の類語には、以下の言葉があります。
・『方針(ほうしん)』……能動的に自分で決めたある活動について方向性・目的やポリシー。
・『方法(ほうほう)』……物事を実際にする場合の基本的なやり方。
・『ガイドライン』……政府・公的機関や企業などが策定する大まかな活動指針・全体的な目標を記したもの。
「指針」の対義語
「指針」は「外部規定的な物事を行う上での方向性」を意味していて、反対の意味を考えにくい言葉です。
そのため、国語辞典などで明確に定義されている「指針」の対義語はありません。
「方針」の意味
「方針(ほうしん)」とは、「ある物事を実際に進める場合の方向性や計画」を意味しています。
「方針」という言葉には、「他から示唆されたのではなく、自分自身で決めた方向性・原則」といった意味のニュアンスが備わっています。
また「方針」には、「方位磁石についている方角を指示する針」という意味合いもあります。
「方針」の使い方
「方針」は、「ある物事を実行する時の目指すべき方向性」を意味して使う使い方になります。
「方針」という表現は、「自分自身で策定したやり方・自発的に規定した方策や方向性」を示唆して使用することができます。
例えば、「入社したのであれば、当社の経営方針に従ってもらいます」のように、「ある活動をするに際しての方向性・基本的なやり方」を指して使われているのです。
「方針」を使った例文
・『どんな活動方針が示されたとしても、尊敬しているリーダーに付き従っていくつもりです。』
・『社長である私が経営方針を決めなければ、会社が進むべき明確なビジョンを示すことはできません。』
・『我が家の教育方針は確かに鼻につくエリート主義かもしれませんが、他人に口出しされたくはありません。』
・『政治が基本方針を誤れば、国家全体が数十年にわたって低迷してしまう恐れすらあるのです。』
・『私の母は生きているだけで丸儲けという方針を掲げていたので、私もその楽観主義に影響を受けたのです。』
「方針」の類語
「方針」の類語には、以下の言葉があります。
・『指針(ししん)』……他からの影響を受けて策定された方向性や参照すべき方法。
・『ポリシー』……ある物事・活動について自分ならこのように行うという信念・信条。
・『方策(ほうさく)』……どのようにしてその問題を解決に導くのかという対策的な方法・やり方。
「方針」の対義語
「方針」の言葉は「物事の基本的な方向性・参考とするやり方」を意味していて反対の意味を考えにくいため、国語辞典などに掲げられる「方針」の対義語はありません。
まとめ
「指針」と「方針」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「指針」と「方針」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。