この記事では、「競り合う」と「揉み合う」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
競り合うと揉み合うの違い
どちらの言葉にも、互いに競争することという意味があります。
違いは、どのように競争するかです。
「競り合う」は、互いの力量がつりあっていて、優劣がつけがたい状態で、互いに負けまいと争うことを意味します。
「揉み合う」は、互いに体をぶつけあい、押し合い入り乱れた争うことです。
スポーツの世界では、互いに争うことが少なくありません。
たとえばマラソンの場合、ゴール寸前でどちらが勝つのかという場面があります。
このようなときは、互いに力量が同じくらいのことが珍しくありません。
そして、どちらも負けまいと争っています。
こういった状態が「競り合う」です。
体をぶつけてはいないので「揉み合う」とは表現しません。
審判の判定に不満がありると、選手が審判に向かっていくことがあります。
選手が審判に体をぶつけたりし、審判の方も負けまいと体をぶつけたりしていれば「揉み合う」です。
競り合うと揉み合うの使い方の違い
「競り合う」は、互いに相手に勝とうとしていて、しかもお互いの力量がつりあっているような争いのことに使います。
「揉み合う」は、互いに勝とうとしていて、しかも体をぶつけあい、押し合い入り乱れている争いについて使います。
どちらの言葉も争う相手がいる点は同じです。
一人で何かをすることに「競り合う」「揉み合う」という使い方はしません。
競り合うと揉み合うの英語表記の違い
「競り合う」は英語で“compete”と表記をします。
“compete with”の形で使用することが多いです。
「揉み合う」は英語で“push and shove”や“struggle”と表記をします。
競り合うの意味
「競り合う」とは、互いに競争することです。
競争の仕方にもいろいろありますが、「競り合う」が意味する競争は、互いの力量が同じくらいで、互いに負けまいと争うことを指しています。
築地市場の競り合いの様子がテレビで伝えられることがあります。
互いに負けまいと高い値を言い合います。
互いに負けまいとしているものたちは、同じくらいの経済力を持っていると考えられます。
経済力がないものは、高い値段を言うことができないでしょう。
こういった場外が「競り合う」です。
サッカーの試合では、互いのチームでボールを取り合い、ゴールを決めようと激しい争いが繰り広げられます。
どちらのチームも負けまいとしており、しかもお互い同じくらいの力量です。
そもそも、トーナメントなどの場合は力量が違い過ぎるチームが出会うことは滅多にありません。
互いに必死になってボールを追ったり、得点を入れようとするさまが「競り合う」です。
競り合うの使い方
互いの力量が同じくらいで、互いに負けまいとしている争いに使われる言葉です。
負けまいとしていても、なぐる、蹴るなど暴力が絡むものは「競り合い」とは使わないことが一般的です。
勝敗・優劣をつけることに主に使われています。
政治の議席、スポーツ、市場など、さまざまな場面で用いられます。
競り合うを使った例文
・『A氏とB氏が競り合う』
・『ゴール寸前で選手が競り合う』
・『競り合う姿がかっこよかった』
・『競り合う必要なんてないのに』
・『マグロを競り合う』
競り合うの類語
「張り合う」「揉み合う」が類語です。
「張り合う」とは、ライバル同士が互いに争うことを意味します。
競り合うの対義語
対義語はありません。
揉み合うの意味
「揉み合う」は、互いに押し合い入り乱れて争うことです。
互いに勝とうとして、体をぶつけあうような争いのことを意味します。
現在ではあまり見られなくなりましたが、バーゲンセールのときに安売り製品を誰よりも早く手に入れよう 欲しいものを他の人に取られないようにしようと、多くの客が押し合いへし合いすることがありました。
ときには引っ張り合うこともあります。
こういった状態が「揉み合う」です。
デモ隊の活動は警察官が止めに入ります。
このとき、デモ隊側が抵抗をして警察官と体をぶつけあって争うことがあります。
こういった状態も「揉み合う」です。
揉み合うの使い方
体をぶつけあって争うときに使う言葉です。
日常生活で体をぶつけあうような争いが頻繁にあるわけではないので、日常使われることは少ないです。
揉み合うを使った例文
・『互いに揉み合う展開となった』
・『席を求めて揉み合う』
・『ハロウィンの街で若者と警察官が揉み合う』
・『揉み合う以外の解決方法を探しなさい』
・『揉み合う場面を見てしまった』
揉み合うの類語
「張り合う」「競り合う」が類語です。
揉み合うの対義語
対義語はありません。
まとめ
どちらの言葉も互いに争うことを意味していますが、どのような争い方なのか意味しているものが違う言葉です。
