この記事では、「超越」と「卓越」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「超越」と「卓越」の違い
「超越」には、主に2つの意味があります。
1つめは、他よりもはるかにまさっていること、ぬきんでていることです。
もう一つは、これ以上は無理だという程度や枠を超えていること、またある物事の状態や世界観がかけ離れており、問題にしないことです。
「卓越」には、他よりもはなはだしく優れていることという意味があります。
どちらの言葉にも、こえる、抜きんでているという意味を持つ漢字の「越」が使用されている通り、2つの言葉には、こえる、抜きんでているという意味が含まれています。
「超越」の1つめの意味と「卓越」の意味は似ています。
どちらも普通よりもはなはだしく優れていることを意味しています。
しかし、「超越」にはもう一つ意味があり、その意味は「卓越」にはありません。
「超越」にはもう一つ、枠を超えたという意味があります。
小説や映画のジャンルは、一つの枠といえるでしょう。
こういったものを超えることを意味します。
「超越」と「卓越」の使い方の違い
普通よりもはなはだしく優れていることについて、どちらの言葉も使用可能です。
ちょっとだけ優れていることではなく、はるかに優れていることをいいます。
また、限界を超えた、枠を超えたという意味で「超越」を使用します。
「超越」と「卓越」の英語表記の違い
「超越」は英語で“transcendence”や“transcendency”と表現をします。
「卓越」は英語で“excellent”や“prominent”と表現をします。
「超越」の意味
「超越」には、主に2つの意味があります。
1つめは、普通よりもはるかに程度がはなはだしいこと、はるかに優れていることです。
「超」には、こえる、かけはなれている、抜きんでているという意味があります。
「越」も抜きんでているという意味がある漢字で、同じ意味を持つ漢字が2つ重なっていることになります。
このことからも、抜きんでている、他と比べてあきらかに優れているという意味を持つことがわかります。
滅多にこういった人はいませんが、人間の能力をはるかに超えていると思うほどの能力を持っている人がまれにいます。
この人は、他の人よりもはるかに優れていて、その優れていることがあきらかです。
こういった、はっきりと他よりも優れていることがわかるようなことを意味している言葉です。
もう一つは、限界や枠を超えること、ある物事の世界観が他とは大きく隔たっていて問題にしないことです。
映画には、恋愛、ファンタジー、ホラーなど、いくつかのジャンルがあります。
たいていは、一つのジャンルの中に映画の題材が納まっています。
これがジャンルにとらわれていない映画であれば、ジャンルを「超越」しているということができます。
ファッションでは流行が重視される傾向があるようです。
これが今流行っているというと、それにあわせた服装が数多く登場します。
しかし、流行にとらわれていては、新しいものは誕生しません。
この流行の枠を超えることを「超越」といいます。
「超越」の使い方
他よりもはるかに優れていることや、枠を超えることについて使用をします。
他よりも優れている意味では、他のものと比べて少しだけ優れているという意味ではなく、あきらかにはっきりわかるほど違っているという意味で使用をします。
たとえば、テストで90点とる人と100点とる人の得点の差は大きくありませんが、10点と100点を比べると違いはあきらかです。
このくらいはっきりとわかるようなことについて使用をします。
「超越」を使った例文
・『ジャンルを超越した作品』
・『民族を超越して人々を指導する』
・『人間の能力を超越した技術』
・『ライバルの関係を超越した間柄』
「超越」の類語
「超凡」が類語です。
他よりもはなはだしく優れていることという意味があります。
「超越」の対義語
特別に優れた点がないという意味を持つ言葉で「平凡」になります。
「卓越」の意味
「卓越」とは、他よりもはるかに優れていることです。
日本には、木工芸、竹工芸、漆芸、染織などの伝統工芸があります。
これらの工芸品を作る技術は、一年やちょっと勉強したくらいでは身につかず、長い年月をかけて身につけたものです。
一般の人には、こういった作品を作ること無理でしょう。
一般の人と比べると、木工芸や漆芸などの伝統工芸品を作る人たちは、はるかに優れた技術を持っているということができます。
その技術は、抜きんでて優れているということができるでしょう。
こういった優れているさまを意味する言葉です。
他よりもはるかに優れていることで、わずかに優れていることではありません。
たとえば、100m走のタイムがAさんは13秒、Bさんは15秒でした。
走る能力が高いのはAさんで、AさんはBさんよりも優れているということができますが、その差はわずかです。
このようなわずかな差を意味している言葉ではありません。
「卓越」の使い方
他よりも程度がはなはだしく優れていることについて使用をします。
優れているとは、能力や技術のことについていう言葉なので、「卓越」もそれらについていうことが多いです。
数量がはるかに多いなどには使用しません。
また、わずかにだけ優れていることにも使用しません。
「卓越」を使った例文
・『卓越した推理力で問題を見事に解決した』
・『卓越した演奏力で人々を魅了した』
・『卓越した音感の持ち主だ』
・『卓越したテクニック』
「卓越」の類語
「卓抜」「卓出」「卓絶」が類語です。
「卓抜」と「卓出」には、一般よりもはなはだしく優れているという意味があります。
「卓絶」には、比べるものがないほど優れているという意味があります。
「卓越」の対義語
「平凡」が対義語です。
これといって優れている点がないことです。
まとめ
抜きんでているという意味を持つ2つの言葉で、この意味ではほぼ同じです。
しかし、「超越」には枠を超えたという意味もあり、この点が「卓越」とは違います。