「促進」と「推進」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「促進」と「推進」の違い生活・教育

この記事では、「促進」「推進」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「促進」と「推進」の違い

「促進」とは、あるものや事柄が速く進むようにすることです。

「推進」とは、あるものや事柄が滞りなく進んでいくようにすることです。

どちらの言葉にも、すすむ、すすめる、前に出すという意味を持つ漢字の「進」が使用されており、2つの言葉にはすすめるという意味が含まれています。

しかし、どのように進めるのかという点で意味が異なります。

「促進」の場合は、何もしないよりも速く進むようにすることです。

たとえば、ビタミンEの働きを知ってもらいたいと考えたとします。

何もしなければビタミンEの働きを多くの人に理解してもらうことはできませんが、広告を出す、商品に説明書きをつけるなどすると、ビタミンEの働きを多くの人に知ってもらいやすくなります。

これによって知識の普及が速くなります。

「推進」の場合は、滞ることなく進めることで、速さは問われていません。

目的を達成するために努力するという意味が含まれています。

たとえば、ワクチン接種を多くの人にしてもらいたいと思っていても、ワクチン接種とはどのようなものなのか、どうやって申し込みをしたらいいのか、受けることによって何かメリットがあるのかなど知らないと、受けようと思う人は増えません。

そこで、ワクチン接種の重要性などを伝えていきます。

そうすることで、ワクチン接種を広めようという活動をしなかったときよりも、ワクチン接種を受けよう思う人が増え、何もしなかったときよりもスムーズにワクチン接種が完了します。

このように順調に進むことを意味しています。


「促進」と「推進」の使い方の違い

「促進」は、速く進むように促すことに使用をします。

速度に重点が置かれています。

「推進」は、スムーズに物事が運ぶように努力することに使用をします。

速度は関係なく、努力することや滞らないようにということに重点が置かれています。


「促進」と「推進」の英語表記の違い

「促進」は英語で“promotion”“quickening”と表現をします。

「推進」は英語で“promote”と表現をします。

「促進」の意味

「促進」とは、あるものや事柄が速く進んでいくようにすることです。

植物を育てるときに使う発根促進剤というものがあります。

これは、挿し木をするときに使用するものです。

挿し木とは、植物の枝を一部切り、それを土に植えて株を増やす方法です。

枝を土に埋めておくと、枝から根が出てきます。

何もしなくても根が出てきますが、ときには失敗してしまうことがあります。

植物は根から水分や養分を吸収しているので、植物が元気に育つためには根が十分に伸びることが大切です。

そこで、発根促進剤が使用されます。

これを使用することで、何も与えなかったときよりも根が伸びやすくなり、伸びる速度が速くなります。

速く発根するように促しているので、発根促進剤といいます。

口の中が乾くことが悩みという人は少なくないようです。

口の中に唾液が分泌されることで、口の中の乾燥が防がれているのですが、口の中が乾く人は唾液の分泌量が減っています。

そのようなときに、ガムを噛む、耳下腺や顎下腺をマッサージするなどすると、唾液の分泌量が増えてきます。

何もしなかったときよりも、唾液の分泌が促されているということができます。

これも「促進」です。

「促進」の使い方

あるものや事柄が速く進んでいくようにすることについて使用をします。

どんどん進んでいくという意味で使用する言葉です。

何かをすることで物事の進み具合が遅くなってしまう、滞ってしまうといったことには使用しません。

「促進」を使った例文

・『ポイントの利用を促進する』
・『多くの人への理解を促進する』
・『生産ラインの自動化を促進する』
・『肌の再生を促進する』

「促進」の類語

「推進」「促す」が類語です。

「促す」には、物事の進み具合が素早くなるようにするという意味があります。

「促進」の対義語

「遅滞」が対義語です。

物事がどんどんと進まないこと、滞ることという意味があります。

「推進」の意味

「推進」とは、ある物事の目的・目標を達成できるように行うことです。

努力するという意味合いがあります。

持続可能な社会を実現しようという動きが世界的に出てきています。

これは、持続可能な社会を実現することが目標ということができます。

目標を達成するために、持続可能な社会を実現するためにはどのようなことをしたらいいのか、具体的な行動を国民に広げる、持続可能な社会のための活動をしている人を紹介するなどの取り組みが行われています。

これらの取り組みは、目標を滞りなく達成させるために行われていることです。

もしも何もしなかったら、持続可能な社会を実現するためにどのようなことをしたらいいかわからず、具体的な行動をとることができず、持続可能な社会の実現はずっと先になってしまうことでしょう。

目標の実現が滞っているということができます。

「推進」は、どんどん前に進んでいくこと、スムーズに事が運ぶようにすることを意味する言葉です。

環境に配慮したパッケージを広めようという活動も行われています。

環境に配慮したパッケージを広める、が活動の目的です。

この目的を達成するために、知識を広める、技術を開発するなどの取り組みが行われています。

こういった努力をしてスムーズに事が運ぶようにすることを意味する言葉です。

「推進」の使い方

目的や計画が滞りなく達成されるために努力をすることについて使用をします。

何もしなくてスムーズに進んでいくことではなく、努力が伴うようなことをいいます。

スムーズに進むようにすることに使いますが、速さは関係ありません。

たとえ時間がかかっても、努力をして滞りなく進むようにすることについて使用可能です。

「推進」を使った例文

・『パッケージの簡略化を推進する』
・『テレワークを推進する』
・『再生可能な製品の利用を推進する』
・『男女が平等に働ける社会の実現を推進する』

「推進」の類語

「促進」「促す」が類語です。

「推進」の対義語

「遅滞」が対義語です。

まとめ

すすむ、すすめるという意味を持つ2つの言葉ですが、「促進」は速く進むようにすること、「推進」は滞りなく進むようにすることで、意味合いが違います。

そのため、使われる場面も違います。