この記事では、「対象」と「該当」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「対象」と「該当」の違い
「対象」には、2つの意味があります。
1つめは、何かを行うときの目標となるもの、何かをするときのねらいです。
もう一つは、認識や意識などが向けられるものです。
「該当」とは、ある内容の前提となるもの、ある物事が成立するために必要になるものなどにあてはまることです。
「該当」の場合は、ある条件などにピッタリあっているという意味がありますが、「対象」にはそのような意味合いはありません。
「子どもを対象とする」といったとき、子どもが何かの条件にぴったり当てはまっているという意味にはなりません。
この場合、子どもがある行為のまとになっているといった意味合いになります。
ある成分やある薬などの働きを調べるために、試験が行われることがあります。
このとき「対象者」という言葉が使われますが、これは試験が成立するために必要な条件を備えている者、条件にぴったりあう人といった意味ではなく、試験のまとになる人といった意味になります。
「該当者」という言葉もありますが、これはいくつかのチェック項目があって、このチェックにぴったりあう人といった意味になります。
「対象」と「該当」の使い方の違い
何かをするときの目標やまとになるものを指して「対象」を使用します。
哲学では、認識や意識が向けられるものという意味で使用されます。
前提となるもの、成立するために必要なものなどに、ぴったりとあてはまることについて「該当」を使用します。
「対象」と「該当」の英語表記の違い
「対象」は英語で“object”と表現をします。
「該当」は英語で“fall under”や“be applicable”や“correspond”と表現をします。
「対象」の意味
「対象」には、2つの意味があります。
1つめは、何かをするときの目標やまとになるもの、めあてのことです。
ある飲食店で、普段は800円で販売されている料理が3つありました。
その中の1つが、期間限定で500円で提供されることになりました。
この1つの料理は、500円で提供されるまとになっているということができます。
このまとのことが「対象」です。
いつも通り800円で売られている料理は「対象」ではありません。
食品の中には、バーコードを集めて送ると何かをもらえるという懸賞が開催されているものがあります。
バーコードはどのようなものでもいいのではなく、数々ある製品の中の、これとこれとこれ、など決まっています。
たとえば、A社という企業は10の商品を販売していて、そのうち4の商品のバーコードが懸賞に使えるものだとします。
この4の商品が「対象」になります。
懸賞の場合は「対象商品」といわれます。
他の6の商品は「対象」ではありません。
「対象」のもう一つの意味は、哲学で認識や意識が向けられるものです。
「対象」の使い方
哲学の意味では日常使われることは少なく、もう一つの意味で使われることの方が多くあります。
日常いたるところに「対象」があります。
たとえば、キャンペーンが適用されている商品、懸賞に使える商品、クレジットカードの優待で使えるラウンジなどです。
目標となるもの、まととなるものという意味で使われています。
「対象」を使った例文
・『対象の商品を購入して、バーコードをはがきに貼って送ってください』
・『対象のストアで受けつけています』
・『80歳以上の方を対象にしています』
・『学生を対象に調査しました』
「対象」の類語
「目標」「めあて」が類語です。
「目標」には、目印とするもの、まとという意味があります。
「めあて」とは、目印、目的のことです。
「対象」の対義語
対義語はありません。
「該当」の意味
「該当」とは、前提や制約となる事柄、物事が成立するために必要な事柄に、ぴったりとあてはまることです。
病院に行くと、初診のときに問診票を渡されます。
そこには、「タバコは吸いますか」「妊娠をしていますか」「薬を飲んでいますか」などのチェック項目があります。
このチェックにあてはまることを「該当」といいます。
歯周病チェックというものがあります。
このチェックでは、「朝起きたときに口の中がねばねばする」「歯茎がむずがゆい」「口臭が気になる」「歯磨きをしたときに出血する」など、いくつかの項目があります。
「朝起きたときに口の中がねばねばする」は、歯周病が成立する一つの条件といえそうです。
こういったチェックにあてはまることを意味します。
前提となる事柄や成立するために必要な事柄があり、それにあてはまることです。
「該当」の使い方
条件や資格などにぴったりあてはまることについて使用します。
条件などが存在しないことについては使用しません。
そもそも、条件などがないと「あてはまる」ということができないからです。
日常生活の中では、項目にチェックしてくださいと言うものが多く、そのときに使われることが多くあります。
また、あてはまらないものを指して使用する言葉ではありません。
たとえば、「タバコを吸いますか」という問いに対して、「はい」と答える人は「該当」する人で、「いいえ」と答える人は「該当」しない人です。
「該当」を使った例文
・『該当する人は書類を提出してください』
・『該当する人だけに支給されます』
・『該当する選手を指導する』
・『該当する従業員は休むことになった』
「該当」の類語
「適合」「適応」「相当」が類語です。
「適合」には、前提となるものや必要となるものにあてはまる、状況にあてはまるという意味があります。
「適応」とは、その場の条件や状況にあてはまることです。
「相当」には、程度がそのものごとにつりあっているという意味があります。
「該当」の対義語
「あてはまらない」が対義語です。
まとめ
「対象者」「該当者」など、似たような使われ方をする2つの言葉ですが、「対象」は目的やまとになるもの、「該当」は条件にあてはまるもので、それぞれの言葉が意味しているものは違います。