この記事では、「模倣」と「真似」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「模倣」と「真似」の違いと使い方の違い
「模倣」と「真似」の意味の違いを分かりやすく解説します。
「模倣」とは、他の物事に限りなく似せるという意味で、「真似」とは、他の物人物や作品に似せるという意味です。
「模倣」と「真似」の違いは、似せる精度や正確さが異なっているという点です。
「模倣」は他の物や作品、人物に限りなく似せる事を「模倣」というので、他の人や物に似た動作をする事の「真似」とはその精度の違いがあります。
また、「真似」には社会的、知的、道徳的に好ましくない振る舞いという意味も含まれています。
これは「真似」をする相手や行動を誇張して面白おかしくするという事です。
簡単に言うとテレビなどでお笑い芸人さんが演じている「ものまね芸」のようなものです。
一方、「模倣」にも道徳的に問題がある事についての意味が含まれる場合があります。
芸術作品の贋作などの「模倣」がこれに含まれるでしょう。
「模倣」と「真似」の英語表記の違い
「模倣」と「真似」の英語表記としては、両方の意味を持っていたり、一方の意味を持っていたりする色々な英語表記があります。
カジュアルな「ものまね」「まねをする」と言った意味の“mimick”、「模倣する」「再現する」などの意味を持つ“imitate”、「なりすます」という意味の“impersonate”などがあります。
「模倣」の意味
「模倣」とは、人の行動、技能、学習などを限りなく似せる事を指します。
人は知らない間に「模倣」をしています。
その例として「言葉習得」が挙げられます。
幼い頃に両親が発する言葉を、少しずつ似せて発音する事で私達は「言葉」を習得しました。
これは「模範」のよい例であり、他にもたくさんの事を両親と同じ行動する事で覚えていきました。
また歴史的に見ると、芸術的な部分での「模倣」もよく見られます。
「贋作」と呼ばれたこれらの作品は、芸術作品として認められているものも中にはありますが、大抵の場合「にせもの」という意味で使用されます。
「模倣」の使い方
「模倣」は人の行動や技能、学習について限りなく似せるという意味で使われます。
犯罪の手順や方法を過去の犯罪と限りなく似せる「模倣犯」は映画にもなりました。
過去の巨匠の芸術作品を「模倣」する事で、力と経験をつける画家も多数いました。
このように「模倣」とは、人の行動や技能について限りなく似せる事によって、自分の能力を向上させようとする人間の行動が表れています。
その一方で「模倣」し過ぎると悪いイメージをつけられてしまう場合もあります。
「模倣」を使った例文
・『私が苦労して作った作品が模倣されていたことがわかった』
・『私は絵を上達させる方法として、有名作家の作品を模倣する』
・『過去の凶悪事件の模倣犯が現れた』
・『模倣した事が発覚し、彼は職を追われてしまった』
・『私は幼少期に海外にいた時に英会話を模倣して習得した』
「模倣」の類語
「模倣」の類語としては、「写す」や「模造」、「複製」「複写」などがあります。
「写す」は現状のままコピーするという意味で、「模造」も同様の意味を持ちます。
「複製」や「複写」もそのままの形で似せた物、あるいは同じものを写したり作ったりという意味で「模倣」の類語となります。
「模倣」の対義語
「模倣」の対義語としては「創造」です。
「模倣」は元からあるものについて似せるという意味ですが、「創造」は何もない所から新しいものを創り出すという意味ですので、対義語となります。
「真似」の意味
「真似」とは、人や物に似せたり同じ行動をすることを言います。
他人の動きや、動作、口調などを同じように似せる事を「真似」と言います。
「真似」はその似せ方について、社会的、知的、道徳的に好ましくない振る舞いであったとしても「真似」とされます。
「模倣」と違うところは、この部分で、まったく似せようとしていないものや、明らかにバカにしいるようなものであっても「真似」になる所です。
「真似」の使い方
「真似」は「ものまね」という言葉で表されることもよくありますが、「ものまね」と聞くとどちらかと言うと笑いを伴うような面白おかしく似せた場合に使われます。
動物の「真似」だと、動物の鳴き声や行動などを大きく分かり易い表現で似せる事を言います。
人の「真似」も同様に、その「真似」る人の声や行動などを似せる場合に使われます。
「真似」を使った例文
・『私の真似をする彼には、少し苦手意識がある』
・『お笑い芸人が、テレビで歌手の真似をしていたがそっくりだった』
・『ゴリラの真似が得意な彼は、飲み会の席では人気者だ』
・『次の新人歓迎会の席の余興で、歌手のものまねをする事になった』
「真似」の類語
「真似」の類語としては、「コピー」や「パクリ」といったあまり良い意味では使われない言葉や、単純に「真似」る事をさす、「似せる」「人まね」などがあります。
「真似」の対義語
「真似」の対義語に関しては「模倣」と同様に「創造」が当てはまります。
まとめ
「模倣」は人の行動や技能、学習について限りなく似せるという事で、「真似」とは「模倣」には劣るものの、同様に人や動物などの行動や声を似せる事を言います。
互いに似せるという共通点はありますが、その精度については若干の違いがあります。